十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

ブロッコリー戦争。

待っている犬。

この週末、とーちゃんが体調を崩してしまい、一緒に飲めなかった。ちっ。昨日もずっと寝室で寝ているので、泡盛を飲みながら二週分ののだめを見ては寝て、起きてはスマステーションを見ながら飲み、また寝て深夜のERを見ては飲み…と一人ダラダラを堪能する。たまにはいいね、こういうの。
そして今夜もとーちゃんは引き続き調子が悪いので、私一人で晩ご飯。テレビを見ながら缶チューハイを飲み、泡盛の水割りに切り替えたと同時にアテを用意する。カロリーを抑えめにっと、納豆、ブロッコリー、そしてウインナー3本。まあ、このぐらいでいいでしょ。ブロッコリー好きなサイゾーのために、小さく切ったブロッコリーも用意して、テレビの前の小錦に身体を預けながらダラダラと食べ、ダラダラと飲む。ん、サイゾーブロッコリー欲しいんか、よっしゃ、お前用にちゃんとあるで〜、はい待て、よし。…………、まだ欲しいんか、よし。…………、そうか、今日は昼ご飯食べたんいつもより早かったからな、晩ご飯作ったろ。そやけどなサイゾー、この小ちゃく切ったブロッコリーを全部ご飯に入れるからな、これでもうサイゾーブロッコリーはおしまいやで。それでいいね。
ペロリと一瞬でサイゾーブロッコリー入りの晩ご飯を食べきり、そそっと私のそばに寄る。はい、サイゾーは晩ご飯ごちそうさまやね、もう何にもないよ。ここにあるのは全部かーちゃんのご飯やからね。…………当たり前だがサイゾーは何も語らず、ただちーんとお座りをして私がブロッコリーを食べている姿をじっと見つめる。それはもう目で「まだあるやん、ブロッコリー、それくれ」とはっきり言っている。「いや、だからさ、これはかーちゃんのブロッコリーなわけ、もうサイのはないよ」「…………」「しゃーないな、もうこれだけやで」と小さく噛みきってサイゾーに与える。結局、懇願の目に負けて何度かそんなことを繰り返し、もう本当に私のブロッコリーは全部なくなってしまった。「ほら、もうホンマにないって、見てみ」と空になった皿をサイゾーに見せる。するとようやく納得したかのように、その場を離れ仕上げの水を飲む。あれだけどない言うても石のように動かんかったくせに。
こうして私とサイゾーの戦いは幕を閉じた。いまはすっかり落ち着いて小錦の上ですやすや寝てやがる。…なんかむかつくぞ!