十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

泡盛飲み比べ。

久米仙対決

8時半には帰るつもりが結局9時前に帰宅。アイロンに励むとーちゃんに、「ちょっと待ってや〜、ご飯作るしぃ」と宣言し、30分後に食卓に並んだのは鶏の照り焼き、買ってきたサラダ、厚揚げとしめじの炊いたん、もやし炒めの4品。「相変わらず手抜きやね〜」と言われながら、ビールと缶チューハイで乾杯。そして、泡盛へなだれ込む。
年末にとーちゃんが「私へのクリスマスプレゼント」として買った泡盛10本のうち、いまや未開封なのは3本のみ。そのうちの1本がこの白い方の久米仙。青と黄色のラベルの久米仙は近所のスーパーでも売っているおなじみの銘柄だが、この白い方は初顔。なので、とーちゃんにどっちがどっちかを当ててもらうブライングテストをしてみた。結果、おおあたり〜、ドンドンという結果になったのだが、いうて2分の1の確率。当たったいうても知れてるやん。
「ちゃうねん、もう匂いでわかったんよ。この違い。何ていうのかなあ、この白い方は今までのと違って、香りがぷんと来たわけ。ほら、とーちゃんってやっぱりスゴイやん?」とまた言うてる。だからと言って好きかは別で、今まで飲んでた黄色と青のラベルの久米仙を自分のグラスに注ぎよる。「やっぱり、こっちの方がウチ向きちゃう?すっきりしてるし」という結果に落ち着いた。
そうこうして泡盛を飲み、私は食器を片づけ、とーちゃんはまたもや靴磨きをはじめる。通りしな「なんやったら私のブーツ磨いてくれてええでぇ」とささやくと、文句を言いながらもどーやら磨いてくれてるみたい。とーちゃん曰く「かなり痛んでまんあ、このブーツ。まあ、日本一のワシの技術をもってしても、再生できるかどうかわかりまへん」と座頭市さながらでつぶやく。「あんさんやったら間違いない、できまっせ。あいつに命を吹き込んでやってくだせえ」と私も時代劇風に答える。そしていま、とーちゃんが靴磨きから帰ってきた。「あとはあのブーツの生命力でんな」と席に着くなりつぶやく。どうやら栄養クリームを下地に塗ったが、これで再生できるかはまだわからんらしい。………「いったん死んだもんを蘇らせるのは時間がかかる、カネもかかる」……まだ言うてるわ。とりあえず付き合いきれへん、今日は寝よ。