十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

強者、おばちゃん参上。

「ほんだらさ、おばちゃんをアンタの会社のCEOにしぃ」はぁ?CEO?!「おばちゃんは前から言うてたんや、会社にとっての宝は人。話聞いてたら、あんたの会社はおばちゃんの考えと一緒のようやしな、ま、CEOになったってもええで」こんな図々しい発言をするおばちゃんとは、私のおばでうちの母親の姉にあたる。家もそこそこ近いので、ちょいちょい一緒に飲むことがあるのだが、昨日はうちの近所の和食屋さんに来てもらってとーちゃんと3人で飲んでいた。で、そんなときのこの発言。うちがどんな会社なのか、うちのボスがどんな考えなのかを話していたら、突然そんなことを言い出した。同じくうちの会社に入りたがって、何かとうちの飲み会にも潜り込んでくるとーちゃんでさえここまでは言ったことがない。たった15人ほどの会社に、おばちゃんがCEOで、とーちゃんが顧問って。やめてやめて〜!!

そんな話をしながら、私たちは日本酒を、おばちゃんは焼酎のロックを楽しみ、料理が続々テーブルに並ぶ。先付け、山葵のつんつん漬け、タケノコの木の芽和え、マグロの赤身の刺身、ふぐの唐揚げ、一寸豆のゆがいたやつなど、春から夏へ変わっていく季節の料理がおいしい。特にこの一寸豆。地味でどうっちゅうことのない見た目だが、しっかりと塩味が付いててやわらかく、とても旨い。「これってさ、おじいちゃん好きやったよね」「そうそう」「ほら、いとこの結婚式の前日に、おじいちゃんが“この豆の塩ゆでが旨いんや〜”いうて、えらい勧めてくれたん覚えてるわ」「あのときはうちの親戚ばっかりで集まって宴会して、笑いと涙でわやくちゃなって、翌日の結婚式ぼろぼろやったもんな」「そうやん、あんたのお父さんのズボン忘れてきて、急遽貸衣装で借りたんやったな〜」「そうそう」と豆の話からいとこの結婚式の話へと変わっていく。いつもそう。うちの母親の一家の血筋かもしれないが、一つの話をじっくりするより、ぽんぽんと話が展開して、「何の話してたんやっけ?」と思うことが多い。とーちゃんはいつもこのスピードについていけず、取り残されてしまう。

「あ〜、おいしかった」と食通のおばちゃんも喜んでくれているようで、よかった、よかった。タクシーに乗るまで見送って、とーちゃんと帰る。あ〜、よう食べたけど、ようしゃべったなあ。おばちゃん、また一緒に飲みましょう。

あ、最後に、全部じゃないけどこの日食べたお料理を。



最後の写真は、アイスじゃなくて豆腐です。手作りの。