十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

2枚刃か、5枚刃か?!

昨晩、いつものようにとーちゃんと晩ご飯を食べていた。安い牛肉を上手に焼いて上等にする貧乏作戦で、ステーキと赤ワインをおいしくいただく夜。いつものようにいろんな話に転がり、とーちゃんがぽろりとつぶやいた。





「なあなあかーちゃん、もうさあ、カミソリの刃が無くなってるんやんかあ。新しいのん買うてきて」
「へ、もう無いの。何買うてきたらええん?」

以前ひげ剃り用の2枚刃の替え刃をアホみたいに買ってきてしまったことがあり、もう替え刃を買い替えることなんて当分いらんと思っていたのだが、いつの間にか切れてしまったらしい。すると親父はこう言い放した。


「今度はさあ、5枚刃にして」


・・・・・・・・・・・。あのさあ、5枚刃ってさあ、かなりヒゲぼーぼーで、剃っても剃っても剃り残しができてしまう人のためにあるのと違うん?とーちゃんみたいなヒゲで…



「た〜っ!!何言うてるん!?見てみ?ボクのこのヒゲ。もうはえてはえてしゃあないんよ。2枚刃じゃもう追いつかへんわけ。やっぱり今度は5枚刃くらいいるねん!」


・・・・・・・・・・・。そのヒゲのどこに5枚の刃が仕事できる場所がある?


「ち〜っ!!わかってないねん、かーちゃんは男のヒゲってもんが。剃ってもなあ、残ってしまうもんなんよ〜。特にとーちゃんみたいなぼーぼーヒゲは」


ここでとーちゃんのヒゲを皆さんに見ていただこう。いっそのこと客観的な意見を伺おうやないかい。おい、どこが「ぼーぼー」やて?





えーっと、これ、かかとから毛がちょろちょろ出てる不思議な写真じゃありません。アゴですアゴ。もちろんとーちゃんの。剃らずに3日目くらいの伸び具合らしい。。。そう、こんなヒゲで、5枚刃を使う必要がどこにあると言うのだろう。


あのな、とーちゃんよう聞きや。ここに田んぼがあるとしよう。100マックスで稲穂がスクスク伸びてるわけよ。そこに稲刈り機が入ってくる。がががががが〜、1枚目の刃が中央からごそっと刈る、2枚目の刃がその周辺を刈る、3〜4枚目の刃がその後を続く、さらに最後の5枚目がちろっと残ったところを根こそぎさらう…。それが5枚刃のコンビネーションっちゅうもんや。わかるね?5枚目まで仕事がちゃんと残ってるわけや。ところがや、とーちゃんのヒゲは、田んぼに100どころか30、いや20しかないわけ。わかる?無いねん、そこに。そんな状況の中で、5枚目はおろかもう3枚目から刈るもんがない、つまりは仕事する場がないわけよ。下手したら肌から出血して、皮膚を根こそぎいかれるで。はっきり言うわ、5枚もいらん。2枚で充分!





すると親父は「だって、ここのもみあげのとこが放っておいたらつながってくるから…」とのたまう。よく見ると、つながるどころかはえてもしてない。どんな妄想や。もう勘弁してよ。



写真(=現実)をとーちゃんに突きつけ、「これでも5枚刃がいると言うのかっ!」と詰め寄ってみるが、うわごとのように「5枚、5枚」と言う親父。お前は高見山かっ!(←古っ)そんなこんなで言い合いになり、最後は我が家で再ブームとなっている王様のレストランby千石ギャルソンの言葉を借りて私が締めくくった。



「このヒゲが5枚刃ですって?ご冗談を。私に言わせれば、5枚刃を気取っているただの1枚刃に過ぎませんね。しゃべりすぎるそのお口、それではカミソリが困ってしまいます。さあ、お帰りを。ピピピっ!ピピピっ!」


・・・・・って、この閉め方、ドラマ見てない人にはまったくわからんよね。でも、我ながらおもしろかった〜♪