十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

親父のやさしい告白。

先日、とーちゃんと飲んでいるときのこと。ちょっと酔っぱらって舌が滑らかになってきたとーちゃんが、とある告白をした。
サイゾーの誕生日にな、実はボクかーちゃんにプレゼントを買うてん」え?私に?「いつもサイゾーをみてくれてるやん。会社に連れていってくれてそれはそれで大変やん。だからありがとう、思ってな」ま〜〜〜、なんと珍しい。それになんて素敵♡うれしいよ、とーちゃんがそんな気持ちになってくれるなんて。何をプレゼントしてくれるの?ヘルメスかい?グッチ〜かい?この際、パチもんだってかまへんで〜〜☆




「いやいや、そんな大したもんじゃないねん。実はな、傘なんよ」傘?うんまあ、持ってるけど、傘はうれしいよ。割とスラっとした細身のきれいな傘が好きやねんけど。で、で、どんな傘?何色の?





「それがなあ、うふ、ネットで見たときになあ、あ!これかーちゃんにええわ!ってピンときたんよ。ほんで思わず買うてしもてんけどな。柄のとこにな、ダックスついてるねん」
シューーーーーーーーー。柄のところにダックス。ああ、立体の。「ほんでな、色は黒やねんけどな、うす〜いグレーでダックスの形がプリントされてるねん。かわいいやろ?」・・・・・・・・こういうとき、妻として何と答えるべきなのだろう。無理をしてでも「かわいい〜♡うれし〜♪」とでも言えばよかったのだろうか。しかし私は正直に本心を伝えた。





「あのな、とーちゃん。その気持ちは本当にうれしい。でもな、よう考えてみてや。私はいっつもサイゾーと一緒にいて、それこそ雨の降る日にゃサイゾー抱いて歩いてることも多いわけや。この状況わかる?」「うん、そうやな」「そんな状況で傘までダックス付いとったら、私はただの犬バカいや、ダックスバカにしか見えん。違う?」「いや、あ」「そら私は犬好きや、ダックスは一番かわいい。そやけど傘までダックス付いてんでええと思うんや。サイゾー抱いて、ダックス付いた傘まで持ってたら“あの人どんだけダックス好き〜?どんだけダックスグッズ持ってる人〜?”にしか見えんわな。理解してもらえるかな」「うん、わかる」「だから正直に言うて、その傘、使いにくい。特にサイゾーと一緒におるときはな」





「そうやな〜。かーちゃんの言うてることはわかるわ。でもな、でもな見てみてよ♪結構かわいいねんって」と返してくる親父。ふう、まあいいか。で、いつ届くの?「今度の土曜日!ワインとかも届くで〜。忙しいで〜土曜日は」明日の土曜は、ワイン、泡盛、ダックス傘、さらにはおニューの電子レンジも届きます。は〜、宅配パーティになりそう。