十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

奪われた会話のボール。

3日間の旅行中、サイゾーと一緒に留守番することを買って出てくれたとーちゃん。土曜日に家に帰り、晩ご飯のザーピーを食べながらこの旅行についてあれやこれやと話しをしていました。するといちいち私の話を遮って「それは実は…」と会話のボールを奪うおっさん。あのさ、私が話してるんですけど。。。










奪われたボール.1「深夜の星空観賞」
「初日の深夜にな、みんなでテラスに出て星空見ててん。それがもうすんごい綺麗でさあ。さそり座とかハッキリ分かるねんで。子どもらも喜んでたしな。ほんでさあ、ピロピロピロってゆっくり動いてる不思議な星があってさ、あれは人工衛星やねって言うててんけど、よう見たら人工衛星があっちもこっちにもあってさ。いっぱいあるんやね、人工衛星って」

         ▼

「はは。それは違うんよ、かーちゃん。そんなに人工衛星があるわけないやん。それはな、きっと、未確認飛行物体や。この宇宙には確認されてない飛行物体がたくさんあってな………うんぬん(長くなるので割愛)」












奪われたボール.2「一年に一度の航空ショー」
「帰りの日にさ、電車に岩国まで出てんけど、それがすごい人でさ。どうやら米軍基地で航空ショーがあるとかで、各地からファンが集まってたらしいねん。基地に向かうクルマの数もすごくてさー“なんでこんなに集まるのか不思議〜”って言うてたくらいで。へへ〜」


         ▼

「ああ、あの航空ショーな。知ってる知ってる。すごいんやで、いろんな航空機がズラ〜ッと展示されてな、それ見るだけでもコーフンや。それにやっぱりブルーインパルスの飛行がすごいで。わずか10m間隔でアクロバットを披露するんやで。普通でけへんであんなワザ。基地の中も屋台が出たりとにぎやかで楽しいんよ。あーボク行きたかったな〜、それ」「行きたいんや。てか行ったことあるんちゃうん?」「ん?行ったことはないで」「なんじゃそりゃ!」












奪われたボール.3「錦帯橋
「で、航空ショーの渋滞に巻き込まれることもなく、錦帯橋に行ったわけ。正直“ただの橋やろ”と思ってたけど、行ってみたらすごいね。川も山もきれいし、あれだけの橋を江戸時代なんかな、すごい昔に作られてることが不思議よね。昔の職人さん尊敬するわあ〜」


         ▼

錦帯橋は多分、ボク小さいときに連れて行かれたような記憶があるねんけどな、あの橋の不思議なところは、万葉集に“錦帯橋”って言葉がすでに出てきてるってことなんよ。これはなんでかわかってないんよ。橋自体はもっと後に出来てると思うけどな、確か万葉集には………うんぬん(長くなるので割愛)」




と、いちいち会話のボールを奪われて、とーちゃんの独壇場になってました。普通さ、「ああそうなん」「良かったね」って合いの手打ってくれるだけでええやん?それがUFOやら見たこともないブルーインパルスの飛行やら錦帯橋の歴史に話が逸れるもんやから、「何の話してたっけ?」な感じになるわけ。なので夜中まであーだこうだとしゃべってました。まあ3日間、犬を相手に暮らしていたことの反動だと考えれば仕方ないか。とーちゃんもお疲れさんでしたやね〜。