サイゾーが亡くなって一番感じた変化は、我が家の関係性です。2人と1匹でいた18年近くの時間は言わば三角形のつながりでした。二等辺三角形になったり、正三角形になったりとときどきに応じてゆるやかに形を変えながらも、三角形という「面」のつながりは保たれていました。それがサイゾーがいなくなって2人になり、面の関係から直線の関係に変わりました。お互いが向き合うしかない一本の線を感じるようになりました。
お酒を飲むとぽろりと本音が出ます。「僕はあれから、意識的にかーちゃんを気遣うようになってるねん」ととーちゃんが打ち明けるように言いました。わかるよ、私もそう。意識して楽しくしよう、やさしくしようとしてるところが私にもある。お互い向き合うしかないから、もうサイゾーという逃げ場がないから、それに慣れてないからこうなるんやと思う。これはこれで仕方ない、しばらくこれでやっていこうよと私は言いました。私たちは新しくできた直線の関係を手探りしながら、引っ張ったりたわませたりして家族の時間を作っていくしかないのだと知りました。
私たちが「とーちゃん」「かーちゃん」と呼び合うようになったのはもちろんサイゾーが来てからです。当時はペットブログブームで○○ちゃんママと呼び合うのが一般的でした。「サイゾーちゃんママ」なんてこそばすぎてき恥ずかしいというのもあって、自然にとーちゃんかーちゃんと言い合いはじめました。それが今では友だちからの呼び名としてもすっかり定着したというわけです。サイゾーがいなくてもとーちゃんかーちゃんであり続けたいし、サイゾーのおかげでたとえ犬とはいえ親として成長させてくれたんやなと思っています。
今週末、来週末と友人たちと集まれることになっていて、楽しみでありありがたく感じています。チリチリになったアタマで今までとはまた違うおもしろい時間にしたいなあと考えてます。