十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

ちょっとちょっと!!

ばんごはん。

昨日の夜、部下に叱咤激励して酒を飲んで帰ってきたとーちゃんはちょっと鼻息荒い様子。それでもぐだんぐだんに酔っぱらっている様子でもなく、「何か飲む?」と聞くと「缶チューハイちょうだい」としっかり答える。チューハイと簡単なアテを並べ、何となくテレビの前に座って飲みながらどうでもいい会話をする私たち。テレビでは小米朝さんが落語をしていた。
「この目線、違うなあ。こんな大ネタかけてんのに、まだまだやわ」と小米朝さんにいちゃもんつけるとーちゃん。はあ、そんなもんだっかとてきとーに相づちをうつ私。「ちゃうねん、ここはこうなんよ。記憶力で大学受験受けてる学生みたいなもんやな。ボクはこう見えてわかってるからね。もし、米朝一門に入ってたら…」はいはい、そうでんな、と適当に流す私。そしてチャンネルを変えるとガキ使で素人芸人さんの一発芸をやっていた。
「だいたい、芸人ちゅーのは笑われるんちゃうねん、笑わせなアカンねん」と陳腐な芸に激怒する親父。「だいたいほら“なんでだろー”とか“〜斬り!”とかの使い捨て芸人が最近多いやん。あんなんは芸やないんよ。ああ、あの“タッチタッチ”もそうやんか」と右手をタテに振りながらわかった顔する親父。………それ、“ちょっと、ちょっとちょっと”か?ザ・たっちのこと?と私がつっこむと「ああ、そうそう、それそれ」とさらに知ったかぶりする親父。しばらくして「だからな〜、“タッチ、タッチタッチ”みたいにな〜」と右手をタテに振りながら、たたみかけるように本気で間違えてる親父。なんぼ言うても、新しいネタはついていけないよう。だいたい浜崎あゆみをいつまでもアユではなくハマーと呼んだり、45.RPMを45ピーピーエムとと言うたりと最新の記憶はついていけない我が家の親父。はあ。小米朝さんに文句つける前に、こんな小ネタ覚えられへんほうがどうかと思うねんけど。