十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

出張の友。

ココ最近の出張の友

私の場合、出張の友、といえば帰りにぐびっとあける缶チューハイ。しかしこれは帰りだけの友だちでとても寂しい関係。ここんとこ東京行きの日帰り出張がとても増えてきているのだが、行きにも帰りにも絶対欠かさないのが「本」。本さえあれば2時間半の新幹線もあまり苦にならないし、時間が経つのもあっちゅう間。なので多少鞄が重くなっても、私は出張時に絶対本を持っていく。
昨日も日帰りの東京出張だった。朝とーちゃんに「読みかけの本が行きの新幹線で終わってまうから、何かいい本あったら置いといて。あ、普通のやつな。気持ち悪いやつはいらんで」と言い残し、風呂に入った。風呂を出るとリビングのテーブルには「UMA ハンター馬子」というタイトルの小説が。ち、違うやろこれ。帯には「蘇我家馬子の先に、UMAあり!伝奇界を揺るがす異色シリーズ登場!」と書いてある。これは中身を開くことなく遠慮した。
結局読みかけの本1冊を鞄に忍ばせ、もう1冊を新大阪の駅で買った。この読みかけの本は小川洋子さんの「博士の愛した数式」。名古屋に着くくらいで読み上げ、ほろろと余韻にひたる。よかった〜、じーんとした。新しい本を開く気持ちになれず、この登場人物たちを思い返す。しばらく経ってふっと我に返り、せやせやとさっき買った小説を開く。これが歌野晶午という人の「葉桜の季節に君を想うということ」という小説。なぜこの本を選んだのかと言うと、単純に帯のところに「第4回本格ミステリ大賞受賞」「2004年版このミステリーがすごい第1位」などそうそうたる賞歴が書かれてあったから。さらには「あまり詳しくはストーリーを紹介できない作品です。とにかく読んで騙されてください」と書かれているのが決め手になった。ハンター馬子と違って説得力のある説明文。そうかいそうかい、ミステリー好きのワシを果たして騙せるのかな?
結果から話しましょう。すっかりやられました。帰りの新幹線で缶チューハイを飲みながら、最後まで読破してしまった。そして騙されてしまった。トリックというより新手の構成。そんなんアリぃ〜?!と新幹線で叫びたくなった。そして帰宅早々、「何にも聞かんとこの本読んで」ととーちゃんに手渡した。とーちゃんは「そんなんええからハンター馬子読みぃ」とまだ言う。ちゃうねん、とにかく語りたいねん、この本について!ああ、誰かと語り合いたい、矛盾を見つけたい。気になる方はぜひこの本を読んで、私に一報ください。