アイロンだこを持つ男。
昨日、いつものおでん屋さんで泡盛を飲みながらおでんをつついていたときのこと。「かーちゃん、見て見て」ととーちゃんが右の手のひらを差し出す。「ほら、さわってみ、ここ。すごいアイロンだこできてるやろー」触ってみると確かに、指の付け根下あたりに筋のようになった細長いタコが。「それだけちゃうで、ボクが本物である証にな、小指にまでタコができてるわけ。ここまでできるんは職人並みやな」と小指にできたタコをさも自慢そうに見せびらかす。
とーちゃんのアイロン技術は確かにスゴイ。自分のカッターシャツ1枚に約1時間をかけてピシーっとパリーっと仕上げる。ごくたまに私のシャツをあててもらうことがあるが、そんときは「パリっと仕上げたい?それとも自然な風合いを残したい?」と聞いてくる。こっちは何にも考えてないので「そんなん選べるんすかー?」な感じ。自分のシャツとスーツにはきちんとアイロンをかけ、一点の曇りもないように整えて会社に行く。鞄を持っていくときは、肩からかけるのは持たず手で持つ鞄にしてスーツの型くずれは起こさない。それが彼の徹底したダンディズムなのだ。
「しかし何で小指にまでタコができるの?」と聞くと、テーブルにあったおしぼりを握りしめ「アイロンをさっ、こういう風にクルっクルっと動かすときに小指が起点になるんよ。だから自然にできるんよ」と解説。ふーん、すごいんだかどうなんだかようわからんけど、確かにそこに力が入るんやなー。アイロンだこをもってる男の人はなかなかおらんやろ。
それだけすごい技術を持ってるんやから、これを商売にした方がええんちゃうかと思う。うちのマンションに「アイロンかけます。1枚1,000円」って看板かけたろかな。少なくともワイン代の足しにはなるでしょ〜。