十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

拒否する犬。

贅沢前菜

この水曜日、とーちゃんがいつものビストロで飲んでいるというのでサイゾーを背負い顔を出しにいった。一組分の外の席がぽっかり空いていたのでちょっとよばれることにする。
赤ワインとお任せの前菜の盛り合わせをオーダーしたら、出てきたのはすげー前菜。ウニのムース、生トリ貝のマリネ(大好物!)、鴨のスモーク、地鶏のパテに野菜サラダ。前菜か?!とつっこみたくなるようなゴージャスさに加え、それなりのボリューム。「もうこれで充分っす」と言い、腹ぺこの私はさっそく箸を付ける。
とーちゃんと料理を味わいながらワインをいただいていたら、下の方から鋭い視線。あ、サイゾーや、忘れてた。「ごめんごめん、ちょっと待ってな」と声をかけ、フランスパンの柔らかいところだけをちぎり、地鶏のパテに乗せて濃厚な味をしみこませてサイゾーの鼻先へ。「地鶏のパテ付きやで、ほらほら、よし!」と勢いよくGOサインを出したもののサイゾーは知らんぷり。「え?サイよ、食べへんのか?」と聞いても顔を背けたまま。どうやらこのメニューはお気に召さんらしい。パテの味の染みこみが足らんのかと何度かチャレンジしたが、すべて拒否。どうやらこれは食べたくないよう。
そんなサイゾーには何にもないよと食事を続けるが、下からの鋭い視線はまだ続いている。どうやら他に欲しいモノがあるようなので「もしかして、鴨?」と聞くとちょっと笑いよる。すごくおいしいので犬にもやりたくない大事な鴨肉をしぶしぶサイゾーに与えると、一瞬でペロリ。「これなんや」と変に納得する私たち。その後5回は鴨肉を与えてしまった。
だいたい犬って、何でもおいしい言うて食べるんちゃうん?何そのグルメぶった態度。このパンだけでもどんだけおいしいか。ましてやパテ付きでもいらんってどうよ。鴨やったら食べたいってどうよ。こいつ絶対犬としておかしいわ!!