十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

車中サプライズ!!

土曜日のサンドイッチ

今日は朝から京都で取材。午前中に終えてJRで京都から大阪へ向かう。この土日も出勤で、とーちゃんの足の具合ももうひとつなので、家でしか酒を飲めず(ちゅーか家では飲んでるけど)あんまり発散できてない。ふう、今日も会社に帰ってすぐに原稿を書き上げなければならない。しんどいけど眠らずに本でも読んで過ごそう、そう決めていた。
新快速に乗るつもりが間違えて快速に乗ってしまうが、まあいいや。用意していた本は松本清張の短編集。内容がちょっと重たいから、寝てしまわないように集中して読みましょう。1両目に乗り込んだが席は空いていて、2人がけのシートにも人はまばら。私はシートに座り本を広げた。
車中は静かだった。子どももいないし、ぺちゃくちゃしゃべるおばちゃんもいない。みんな一人で座っているようで、涼しい車中で眠っている人が多いようだった。各停期間が過ぎて、電車は次の停車駅までしばらくスピードを上げて走る。私は心地いい揺れの中で本の世界に入り込んでいた。するとドタドタっと静寂を破る騒がしい気配が。
ふと視線を前に上げると、2つ前のシートの背もたれの上で背広姿の男の人が横たわっている。まず認識できたのはその人のお尻。「この人何やってんねやろ」と一瞬は呑気にそう思った。でもよく見ると、2つ前のシートの通路側の席に、大人が4〜5人団子になって集まっている。上から下から横から、その席に座る人を押さえつけているのだ。「何?」と思った矢先に「こらっ!!じっとしろ!!もう抵抗してもムダや!!!こら暴れるな!!」と誰かが叫んでいる。そう、私服の刑事さん達が犯人を押さえつけた瞬間だった。そばの席の人たちがサッと遠のき、代わりにつかつかと中年の女性がその席に近づく。「申し訳ありません、警察です」と警察手帳を広げて乗客に見せる。うわっ、とーちゃんがいつも見てる浅野ゆう子の刑事ドラマみたいや。ひえ〜!!
その犯人が何をしたのかしらないが、一人に5人も張り込んでつかまえるもんなのね、と変に感心。犯人は往生際が悪いようで、刑事さんたちはずっと押さえつけたままで動きを止めている。「申し訳ありません」と数人の刑事さんに謝られ、「いえいえ」と言うばかりの小さな私。そうしている間に電車が駅に止まり、みんながぞろぞろと降りていった。
電車が動き出し、小説に視線を戻すが、興奮して本の世界に入れない。事実は小説より奇なりとはまさにこのこと。ビックリしたけど、松本清張より面白かったわ〜。