もう半年以上、とーちゃんは髪の毛を伸ばし続けている。ずっと坊主でいたのに「まずは坂本龍一めざしたいねん」と言い出し、美容院に行くのを止めた。耳に髪の毛がかぶってもひたすら我慢し「切らへんよ」と言い張る親父。しかも親父の目標は坂本龍一に留まらないらしい。「教授みたいにするやん。でもな、最終的にはオダギリジョーみたいにしたいわけ」。。はっ?!あのオダジョーかいな!!?「うん、伸ばしてさ、くくりたいねん」。。。50歳を前にして、くくりたいか?オダギリジョーみたいに?ありえへん。「あのな、後ろからみたら、オダギリジョーと言うよりも、大木凡人やで、それ。もうそろそろ切ったら?」とどれほど言い続けても首を縦にふらない親父。もうほっとこ、しらんしらん。
そんなこんなの日曜日、久しぶりに近所のお好み焼き&鉄板焼きのお店にとーちゃんと2人で行った。ここのマスターはサーファーで日焼けもしていて、体格もがっしり。いやん、ええ男やんかいさ♪なお兄ちゃん。そんなオットコ前のマスターが、久しぶりのとーちゃんを見て「えらい髪伸ばしてはりますやん。いや、格好いいですよ」と誉めてくれた。「またまたあ、そんなお世辞はよろしいって」と私が言うと、「いやいやマジで、格好いいですよ」と本気で言うてくれはるよう。すっかり親父は気を良くし、「うふぅ。でね、伸ばして後ろでくくろうかな〜と思って♪」ととーちゃんが調子こいて言うと、「いや、それはアカン」とぴしゃり。ワシにはようわからんが、マスターにしたら大木凡人はOKだが、伸ばしてくくるドン小西はダメらしい。うーん、どっちもどっちやと思うねんけどな〜。男の美学は理解できん。。。
で、結局、気持ちよくなった私たちは焼酎をロックでいただき、銀杏やらのアテをちびちび食べ、お持ち帰りでお好み焼きとそばメシを作ってもらった。帰り道、「あんたー、マスターに誉められたからって、調子こいて伸ばさんでええで〜」と私が言うと、「ふふん、いいもんねー。しばらく切りませんから」と自信あり気な親父。ま、いいけどね。間違いなく、オダギリジョーへの道のりはまだまだ遠いよ、とーちゃん。