十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

ここ、どこや?

どこ?

あ〜忙しい一週間やったー。新規の仕事がバタバタ入ってきて、終わっていく仕事が思った以上に手間がかかって、ボスから急な仕事頼まれて、子ども集めた撮影の準備やら何やら毎日バタバタですわ〜。そんな一週間で、最もあってはならんハプニングが起きた火曜日の夜。それを振り返りましょう。
火曜は仕事が遅くまでかかり、会社を出たのが11時過ぎ。サイゾーを背負って自転車をこぎながら「帰ったらチューハイ飲んでいっぷくして〜」とくつろぎイメージを広げていた。マンションについて、部屋の扉を開けたら「がちゃ」っとイヤな音がして扉が止まる。やられた。またフックの鍵をかけられている。とーちゃんは多分オカモトさんの花見に参加して、かなり酔っぱらっているんやろう。部屋のどこかで爆睡している気配が漂う。「とーちゃーん、開けて〜」と声をかけるもむなしい。わずかのスペースから腕を差し込んで扉をバンバンたたいたり、チャイムを鳴らしたり、電話をかけたりとできる範囲の手を打っても、まったくの無反応。時間はもう12時に近い。あんまりバンバンやっても近所迷惑なので、どうしたもんかと途方にくれる。
ひとまず会社に電話をかけてフックを切れるくらいの大きなハサミが無いかを聞いてみる。そんな都合のええもんがあるはずもなく、ボスにも電話して聞いてみるがもちろんない。「お前、なんやったらサイゾーをウチで預かったるで。ほんだら1人でホテルででも泊まれるやろう」とボスが言ってくれるが、こんな時間に犬2匹がいるボスん家にサイゾーを連れていけば、深夜の犬パーティがはじまってしまう。「いやいや。ありがとうございます。ちょっとどうするか考えますわ」と言って電話を切る。会社の同僚も電話をくれて「大丈夫ですか?うちに泊まってください」と言ってくれる。うぅ、ありがたいなあ。しかしまあ、どねしよ。ひとまずサイゾーだけでも家に入れたらと思い、わずかのスペースからサイゾーをねじ込もうとしたら「いやや、かーちゃんとおる」というようにぴょんと膝の上に飛び込んでくる。おぉ、サイゾーよ。どんなときもかーちゃんのそばがええんかと胸がじーんとする。
が、じーんとしている場合ではない。いろいろと考えて、電話をくれた同僚Sの家にお世話になることを決める。電話をかけると「どうぞどうぞ来てください」と迎えてくれてサイゾーとともにタクシーで向かう。こうして温かい部屋で一晩を過ごすことができた。
で、さあ、とーちゃんよ。メラメラと燃えるこの怒りをどうしてくれよう。朝の7時になってようやく連絡がつき、ものすごい慌てた声で「ご、ごめん。鍵開けとくから」とぼそっと言うとる。その日の晩、久しぶりに顔を合わせ、きちんと謝らせ、今週いっぱい晩ごはんを作ってもらうことに決定。当たり前じゃ、じじい。甘いくらいじゃ。いつまでも学習せんのう。このペナルティを解消するべく、今晩はとーちゃんの奢りで近所のおいしい和食屋さんに行きます。ぷぷ、当たり前じゃ、じじい。酒は飲んでも、のまれるな。