十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

村上春樹を読まない理由。

昨夜は近所のバーで4杯(←ホントかどうか)引っ掛けてきたとーちゃん。かなりゴキゲンさんなくせに普通を装い続ける親父とともに、いつものように晩ご飯。話題は最近、飲むとよく出る村上春樹についてとなった。



ここで説明しておくと、私は最近かなり春樹作品にハマっている。もう随分前にミリンのMくんから、世界の終わりとハードボイルドワンダーランド、海辺のカフカ、その他短編集等々を借りて読んでいた。どれもとても面白かったという印象を残して。そこでしばらく読んでいなかったのだが、今年に入って自分で買い集め、ねじまき鳥クロニクルノルウェイの森を完読。そして今、海辺のカフカをもう一度読み直している。彼の小説はとても読みやすい反面、ストーリーは難解なので、とても慎重に、丁寧に読むことを心がけている。そんな自分がもどかしくもあり、まだ1Q84を手にしなくていい理由になっている。





人生で一度も春樹作品を読んでこなかったとーちゃんは、ついこの前、何の拍子かねじまき鳥クロニクルを読破した。上中下巻の3冊分ある長いストーリーを読み上げ、そして言った「すごい面白かってんで。でもな、ようわからんかったわ」。そうなんだよ、春樹作品はどう解釈していいのか戸惑う描写やシチューエーションが多い。「なんでねじまき鳥さんは井戸に入るの?」「クレタとマルタはいったい何やったん?」・・・・ふむふむ、そら最初は戸惑うよね。わかるけど、その解答は私には持ち合わせてない。自分で解釈するしかないんやわ。昨晩もそんな話になり、「もう他の作品は読まんの?」と聞くと、「うーーーん。そこなんよ。悩んでるんよ」と言う。私が見るには、とーちゃんはすごく春樹作品に惹かれているくせに、そこに入るのを躊躇している。きっと混乱する自分がイヤなのだ。読みほどに惑わされてもっと好きになることを恐れているんや、絶対。





そこで、比較的読みやすい海辺のカフカをとーちゃんに勧めてみた。四国が舞台になってるし、2つのストーリーが交錯していく展開で、おじいちゃんの「ナカタさん」もユニークで面白い。「どう?読んでみたら?」と聞くと、「ボクはな〜、もう一回ねじまき鳥さんを読み直そうかと思ってるねん」ほう、また読むの。「わかってなかったところをもう一回読んで確かめたいんよ」と言う。まあその気持ちはわからんでもないな。そうしてみる?「でもな〜、ボクが一番腹立つんは、あんた先にいろいろ読んでるやん?それをな〜、なんかな〜上から目線でいろいろ言われるのが腹立つんよっ。なんかさあ、わかった顔してさあ」やって。じゃあ一生読まんでよろしいわいっ。ふん、私はさくさく読んでいきますからね。その差をおお〜〜きく引き離してやるっ。ふう、ちんまい親父にやれやれ。