十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

悲しい話。

今回は悲しいお話です。ブログに書こうかどうかずっともやもやしていたのですが、気持ちのやり場がないので書くことにしました。先日、ずっとお世話になっていたカメラマンの方が亡くなりました。私と同い年です。うちに来て一緒に飲んだこともありました。同い年の気軽さもあり、とても気の合う人でした。

ガンだとわかったのは確か2年前。その後手術を受けてしばらくしてから復帰されました。去年の夏は一緒に大学の仕事をしました。照りつけるキャンパスを一緒に歩きました。もちろん、ガンになる前よりも少しは痩せてはりましたが、相変わらずの博識、カメラマンならではのきめ細かさで、いつも楽しい、頼もしい存在でした。私は彼が切り取る世界が大好きでした。どんな普通の人でもかっこ良く写し出され、どんな風景も見違えるように美しかったです。

去年の冬になって体調が悪くなったため、仕事を休んで療養されることになりました。今年明けてすぐくらいに、お支払いの件でメールでやりとりしました。具合のことをたずねたら「なかなかうまくいきませんねえ」と書かれていました。それから一週間から10日くらいかな、彼が亡くなったと連絡があったのです。

うちの会社のほとんどのメンバーがお世話になった人です。若いスタッフは彼に叱られ、教わりながら成長しました。みんながめいめいにお通夜とお葬式に参列し、お別れをしました。私はお通夜に参列した後、家でとーちゃんと飲みながら号泣しました。声をあげて泣きました。もう彼と仕事をすることはない、彼の写真を見れない寂しさとかなしさがこみ上げました。あんなに泣いたのは本当に久しぶりでした。

あれから約2週間が経ち、相変わらずの忙しさで悲しみが表面に出ることは少なくなりました。でも新しい仕事で撮影の段取りを考える度に、彼にもうお願いできない現実に直面します。あーと思います。一緒にまた仕事をしたい、現場に行きたいという気持ちでいっぱいになります。彼が一番、また現場に立ちたかったやろうに。年を取るごとにまた違う写真を撮りたかったやろうに。

寂しいなあ。神様は残酷やなあ。といつも考えます。うちの会社がまだ数人の小さい事務所だったときからの付き合いで、意見をお互い言いながら一緒に成長してきた大切な人なんです。奪わないでほしかった。

そう思いながら、地獄八景の落語のように、うちのお父さんたちと一緒に飲んでくれてたらいいなあとも思います。あっちの世界でまた一緒に仕事ができたらいいね。ありがとう、山田さん。