いつもお世話になっているこのサロンのオーナーは私と同じ年の男性で、撮影仕事で随分前にヘアメイクをお願いしたことをきっかけにここに通うことになりました。なのでもう10年以上の付き合いになるか。「チリチリにして。カッコええやつ」とか「そろそろ落ち着いて遥にしたいねん」などなど私の無茶なオーダーにも快く応え、期待を裏切らないヘアにしてくれる信頼のスタイリストさんなのです。
今回もパーマを当てるか、カットで様になるのか相談するつもりで行ったら、しばらく私の髪を触り「うん、パーマは無しでカットでいきましょう。ニュアンス出せますよ」と即答。助かるわ。私、こういうことにあれこれ悩むの好きやないねん。カットでまとまるなら時間もかからずに済むから好都合。「ほな、それで」と取りかかってもらいました。
彼はよくある美容師特有のおしゃべりなタイプではないんやけど、やさしい雰囲気なのでつい私からあれやこれやと話してしまうのよね。うちの会社のメンバーも何人かここでお世話になってるので共通する話題も多く、世間話をしながらチョキチョキ。あら、だんだん遥に近づいてるじゃなーい。
ドライヤーで髪を乾かし、さらに仕上げのカットに入った頃、なんとなく意を決したような感じで私に話しかけてきた。驚いた。けどなんか誇らしい。長い長い時間をかけて丁寧に考えて考え抜いて出した結論であることは、これまでの経緯を知ってるだけにとてもわかる。うん、頑張ってや!と言うしかない。
彼はこの秋でここを退いて奥さんと2人でパリに移り、美容師の仕事をしながら撮影仕事にも関わっていくと決めたそうです。「なんかね、48歳になってからは遅いような気がして、今のうちやと思ったんです」ならしい。同じ年やし、わかる気がする。ここのところずっと時間の許す限りパリに通ってたもんね。寂しいけど頑張ってほしいなー。山田さんに続いて彼とも離れることになるのかあと思うとしんみりするけど今回はおめでたいことやからね。いろいろな47歳の旅立ちがあるものです。