十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

改めてとーちゃんのこと。

我が家はお察しの通り、数年前から私が仕事をしていてとーちゃんが家にいる状況になっています。実際の稼ぎ頭が私でとーちゃんは扶養家族、いわゆる主夫ですね。とーちゃんが勤めていた会社がややこしいことになり、辞めざるを得なくなってこんなことになりましたが、この状況について「かーちゃん働かなあかんの大変やな。可哀想」とどこかで思われてるんやろうなあと感じます。がしかし、そうでもないんだな。結婚してからも仕事を続け、やっているうちにどんどんいろんなことが出来るようになって、仕事がおもしろくなって、生活のためでなく自分のために仕事をしていると自覚するようになってたから「やらされてる」感はどこにもない。とーちゃんがどないなっても私はこうして仕事をしてたやろうし、もちろん「生活のため」という側面は強くなったけどそのためだけに働いてるという気はほんとにないの。だから悲壮感はまったくないです。

 

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あれ、写真アップできた。なんでかな?まあいいや、続けましょう。

もともととーちゃんは働いているときから私に「あれせえこれせえ」言う人ではありませんでしたが、家にいるようになって少しずつ変わっていきました。家事をしてくれるようになって料理にも少しずつ工夫をしてくれるようになり、こないだも「こんにゃく買うてきて」と言う。こんにゃくなんてとーちゃんは好きじゃないし滅多と使わん食材なのに「糸こんにゃくと板のやつ」と言うので買い揃えたらちぎりこんにゃくを炊いたのを出してきて「どうよ」と言う。「味が少し濃いね、でも美味しいよ」と言うと「そっか、もっかいチャレンジしてみるわ」となり、再度出てきたこんにゃくの煮物は食感にこだわったらしくとても良くできていました。「ボクこんにゃく見切ったわ」とうれしそうに話すとーちゃんはとても可愛くて、「この人変わったなあ」と思うばかりです。

 

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私が出張で不在のときは、帰ってきたときに気持ちよくお風呂に入れるようにと風呂掃除をしてくれているし、洗濯だけでなく私のシャツのアイロンもピシっとかけてくれてます。そのことに先に気づいて「ありがとう」と言うのがたとえ夫婦であれど礼儀やと思うし「私が稼いでるねんから当たり前や」なんて気持ちになったらおしまいやと思ってる。「あんたあ、主夫も大変なのよお」ってよく言うてるけどほんとそうやろうと思ってるよ。

 

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家族といえども所詮は他人。脆い関係でしかないこの人と一緒にいると自分で決めたなら、相手をリスペクトする気持ちがなかったら一緒にいる意味がないと思う。こんにゃくに対して一生懸命工夫してくれるとーちゃんを私はありがたいと思うし尊敬する。だから一緒に居られてるんやと思う。どんな状況であってもお互いがそういう気持ちであれば幸せやし、いたわり合える言葉や態度がないとそれは感じられへんのやと思う。たった一言「ありがとう」って言えるだけで気持ちいいもんね。そういやさっきもとーちゃんが作ってくれたレンズ豆の煮込みを食べて「美味しいなあこれ!」って言うたら、ものすごいへべれけやのに「あっそう?ありがとう」って言うてたな。そんな可愛らしいとーちゃんですが、後は自分で買い物に行ってくれたら申し分ないのにと心の中でこっそり思っています。