十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

甥っ子姪っ子への手紙3。

3年目の手紙です。王子はこの春から高3、姫は中3にそれぞれ進級ですね。それぞれ受験でしょ?今は推薦やら楽な道もあるのかもしれんけど、自分が学ぶ場所を決めることはとても大事なことなのできちんとしっかり考えて選ぶんやで。と、家庭生活学科を選んだねーねーが言うことちゃうな。失礼。

 

ねーねーはコピーライターとして、よく大学のお仕事もしています。関西のまあまあ名前の通った大学の仕事にいろいろ関わってきました。自分の子どもくらいの年齢の学生にインタビューすることも結構あります。まあこういうインタビューに推薦される学生はそれなりに優秀な人たちなんやけど、エピソード話を聞くと大抵が「たまたま」と言う。「たまたま、先輩に誘われた」「たまたま、受けた授業で知った」「たまたま、ゼミの先生がこういう活動をされていて」などなど。ほう、人生はこんなにたまたまで動き出すのか。

 

この「たまたま」はとても重要なキーワードだとねーねーは思う。それはみんなに平等に与えられたチャンスであると思う。そこに転がっている「たまたま」を受け手側がキャッチできないとそこから何も動き出さない。あなたたちは無数に転がるこのチャンスに心を動かせ、やってみようと思えるのかしら。ボケーっとしてたらそれこそ玉のようにスーっと転がって向こうの誰かのところに行ってしまうんやで。この転がってきた玉を拾い上げ、自分で磨き上げる行為によって経験値が上がる。気づけることが増える。それを繰り返していくと、卒業後に社会で何をしたいのか、何で稼ぎたいのか、何を自分の強みにできるのかがくっきり見えてきます。都度都度いろんな玉を拾って失敗したり後悔したりたまに成功したりできるのが、大学生活であり、もちろん高校生活でもあります。ここにはいろんな「たまたま」が転がっています。

 

これは最近のねーねーがぼんやりと思ってることなんやけど、自分に見えてないものが多いと感じることが増えて(老眼のことやないで)、見えてないものに目を向ける意識、アンテナがまだまだ足らんと思ってます。道を歩いてていろいろ見てるつもりでも、見えてるものって結局自分の興味関心のあるものだけなんよな。無意識にいろんなものを排除している。でも世の中には本当にたくさんの、無限のような世界があって、興味以外の方へも意識を広げて目を向けていかんと自分に変化がないし、何よりもったないないことやとこの年になってようやく感じています。

 

好きなことややりたいことをとことん追求して極めるのももちろん結構。でもそれは、その世界だけしか知らん人間では務まりません。例えば医者なら勉強だけ頑張ってもしゃあない。いろんな専門家が集まるチームで上手く連携できる能力や、あらゆる性格、年代の患者と向き合える人間力も必要になります。成長するってことは子どものうちだけじゃなくて一生のことなので、あなたたちが一生成長できる居場所や役割をもてる人生になるようにとねーねーは願っています。