十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

全身麻酔をした17歳の犬。

サイゾーが胃腸炎にかかって病院に行ったとき、ずっと気になっていたことをテンダラー先生に相談しました。「歯がポロポロ抜けてきて多分痛いんやないかなと思うんです。せやけどこの歳で全身麻酔して治療するのは無理かと思ってて」「たしかに口は触らせてくれないですね。痛いんかな?サイゾーくん」「怒りっぽくなってるのにも関係してるんちゃうかなと」「お母さん、いろんな考え方がありますけどね、僕は全身麻酔のリスクは年齢よりも体調やと思います。血液検査をして調べて問題なければできると思いますよ」と先生は言う。「できますか?」「サイゾーくんなら多分ね」。となり、ひとまず胃腸炎のこともあるので血液検査をしたところ、「肝臓の数値まで落ち着いてますね」とどこも悪くないことが判明。おそるべし17歳。またしてもおりこうオブおりこう犬。「お母さんそれでね、どうせゼンマするなら、CTも撮っておきませんか?中も見たいんです」と先生が言うので「なんぼしますのCT」とまずは話はそこからだ、の関西人。「歯の治療とCT合わせて5万円くらいかな」と正直に即答する関西人先生。「多分今回のゼンマがサイゾーくんの人生の最後になると思います。医者としたらこの機会に内臓の状態を知っておきたいんです」「中を見るってことは、つまりガンがあるかどうかですよね?」「ほぼそうですね」「先生、サイゾーにガンあると思う?」と聞くとニヤッと笑って「無いと思うな!」「せやんなあ〜」と談笑。せやな。わかた。5万円はとってもとっても痛いけど「やりましょかCT!」と腹をくくりました。

 

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その日は午前中に病院にサイゾーを預け、「CTを撮ってなにか緊急なことがあればお電話します。電話がなければ17時以降に迎えに来てください」というシステム。そわそわしながら酒を飲むわけにもいかず(さすがに不謹慎かと自制)午後からは家で仕事をしてました。2時を過ぎては「そろそろ始まってるかな」3時を過ぎては「もう終わってるかな」4時になっては「もう電話かかってけえへんかな」と思う親心。とーちゃんは朝からスロージョグがてら神社を5つ回ってサイゾーの無事を神頼みしていました。5時を回って迎えにいくと、ボケーっとした状態のサイゾーが先生に抱かれてやってきました。

 

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歯の治療のことを聞いた後、話は気になるCTの結果に。頭上からのスライド画像を見せられながら要は「どこも悪くない」ことが判明。「この歳なら普通どこかに結石があるもんなんですけど、どこにもありませんね」とテンダラー先生もびっくりの健康体オジイわん。ガンどころか石すらないおりこうオブおりこうふたたび。「今夜はごはんを少なめにして、明日からは普通に戻していただいて結構です。いやあすごいな、えらいぞサイゾー!」と先生や看護師さんに笑顔で送ってもらい、ぎゅっとサイゾーを抱きしめて家に帰りました。

 

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「もう大丈夫!」と思っていたところ、家に帰ってからのサイゾーはとにかく寝る。どこででも寝てる。お腹ぺこぺこやろうとご馳走を作っても見向きもせず寝てる。「まあ麻酔が残ってるんやろうね」「疲れたんやろう」と言いつつ次の日は大丈夫と思ってたら、翌日も昼ごはんも食べずにずっと寝ていたらしい。さすがにちょっと心配になってきて、夜も食べへんかったら先生に電話で聞いてみようと思っていたところ、夜になってやっとウンチを大量に出し、晩ご飯もペロリした!ようやく内臓機能が復活した模様!万歳!

 

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歯が治った(そういや歯も年の割には残ってるらしくここにもおりこうが)こともあり、その後のサイゾーはご飯をよく食べ、ときに文句をたれ、時間が経つごとにいつもの性格の悪いサイゾーに戻っていきました。あ、今も「腹減った。もう昼やんけ」と起きてきましたわ。もちろん目はまったく見えてないし、粗相をすることも増えてるけど、それでもOK。今の瞬間のサイゾーがより愛おしく、こうして晩年を安心して過ごせることに先生たちに感謝します。このまましばらく行こうな、サイゾー