先週の土曜日に九条のいつものお母ちゃんのお店に行って「うちの犬が死んでしもてなあ」なんて話をしてさんざん飲んだ後、最近私たちがダダハマりしているスーパーフレックと商店街のお豆腐屋さんやお漬物屋さんでお買い物をしました。「ほな帰ろか」ととーちゃんと商店街を歩いていたら、昔ながらの時計屋さんがあったので「ちょっと見よか」とショーケースをちらり。実は私の腕時計が突然壊れてしまったので、新しいのをヤフオクで買うかとお母ちゃんの店で飲みながら探していたばかりだったのです。長年使っていたお湯呑みが割れ、壊れるはずのない腕時計が止まり、サイゾーがいなくなった。これは私にとって新しい時間のはじまりの合図でしかないと思っていたところでした。
時計屋さんのショーケースを眺めていたら「あんた、こんなんこの値段であるわけないのあるで。古いお店ほど昔のままの値段で残ってたりするんよ」と親父ガン見。そうなんかい?と見ていたらひとつ私好みの腕時計に目が留まった。シンプルで主張のないデザイン、ローガンなのでデジタルNG、文字盤は大きくハッキリじゃないと困るという条件をクリアしている。「とーちゃん、これがええわ」と見せてもらったらたった3千円。店主のおじいさんに「これください。ベルトはこっちのに変えてください」とお願いしたら、お茶をいれてくださり、「電池も変えときましょ」とやっていただくことに。店内をよく見たら眼鏡もあって、2人でフレームを付け替えしながら待たせてもらいました。
お会計は五千円弱。払おうとしたら「これはボクがかーちゃんにプレゼントするわ」と財布から五千円札を出す親父。ありがとう。てかさ、なんであんたそんなお金持ってるわけ?お小遣いも渡してないやん、と言うと「うふふ。ボクかーちゃんからお金預かるときにこっそりくすねてるんよ」「そらある程度予測してたけどもやな」「かーちゃんにわからんようにそーっとこつこつ貯めてたんよ」やって。は?
「たとえばお寿司代を預かるとしたら、ボクは小銭も一緒にちゃんと返すわけ。ほんだらかーちゃんは怪しまんとそのまま財布にお釣りをしまうやん。これ、お札だけ返したらあかんのよ。ぴったりなわけないからツッコミ入るやん。そこんとこを上手くやってコツコツ貯めてきたわけよ」と得意げに語る親父。なんやろうこの気持ち。別に毎月小遣い渡したってええねんけど、この人にとっておもしろいのはそっちやないんやろうな。「あーあ、せっかく頑張ってくすねたお金全部使うてしもたわ。またがんばらな」やって。なんかおかしくないコレ?
そんな風にして買ってもらった腕時計、これがまたとても良くてものすごく気に入っています。あのときヤフオクで買わなくて良かった。お茶を飲みながら待たせてもらえる時計屋さんで買ってよかった。「また修理したい腕時計があるので持ってきていいですか?」ととーちゃんが聞いたら「ぜひぜひ、なんでも持ってきてください」と店主のおじいさん。これでまた私たちが九条に行く理由が増えました。