十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

甥っ子姪っ子への手紙4

この春から王子は晴れて大学生、姫は高1になりましたが、あいにくのこの新コロ騒ぎで学校にも行けない状況が続いてますね。京都で一人暮らしを始めた王子はオンライン授業を受けながら焼肉屋のバイトに勤しみ(まかないをいただき)、姫は家で時間を持て余していることでしょう。「なんでこんな目に」と思いがちですがちょっと待って。「こんな目に」あうことなんてまあ無いことなんで、「こんな誰もが経験したことのないとき」を、あなたたちがどんな風に受け止めてどう過ごすかが大きな分かれ道な気がします。どうせならこのときを楽しみましょうよ。そしてぽっかり出来た時間を有意義なものに変えましょうよ。ボケーっとスマホを見てる時間を何に変えられる?何も生み出さないその時間に何を蓄えられる?そういう気持ちでこの非常時と呼ばれる毎日を自分の将来のための時間に変えてほしいと思っています。

 

ねーねーは会社が近いので基本的に普段通りの生活を続けられています。これはとてもありがたいことです。でもな「普段」という概念がこれからがらりと変わるね。たとえば満員電車に揺られて通勤していた「普段」、顔を合わせて会議をするものとしていた「普段」はこれからきっと少なくなっていきます。おそらく10年もすれば「馬鹿じゃない?」と思われるようなことになっていると思います。当たり前が当たり前じゃなくなる大きな転換期に私たちは今生きています。逆に言えばこの状況はいろいろなチャンスになっていきます。あなたたちの「学び方」も変わっていくし、学校行事のやり方だって変わるでしょう。あなたたちはその大きな変化の(学生・生徒としての)当事者となります。「えーっ、そんなん運動会と違うやん」「そんな授業でわかるわけないやん」と100人が言うようなことをあなたたちは面白がって受け入れられる人になってほしい。そしてその新しいシステム(やり方)に対して「もっとこうした方がよくね?」と提案できる人になってほしい。文句を言うならその前にアイデアを考えよう。不満に至る理由を明らかにして、その改善策を考えてみよう。これから決まっていくことはどれも完全じゃないに決まってる。だって新しくなった世の中を先生だって経験してないもん。不完全なものからとりあえずスタートして、それをみんなの知恵で変えて良くしていく、そんな時代になると思うしその変化をボケーっと横目で見てるんじゃなく参画していってほしいのです。変えていくための声をあげられる人になってほしいのです。

 

ねーねーもこのアフターコロナと呼ばれるこれからの時代がどうなっていくか掴み切れていません。人は何に喜びを見出すのか、当たり前とされていることのボトムアップがどこまで進むのか、とても興味深く思っています。あなたたちも大きくなりました。いっちょまえの大人の少し手前にいます。失敗をたくさんできるこの年代に、この世の中の大きな変化を体験できることをある意味ラッキーと捉えて、何かを起こしてほしい。そのためにはもっと社会に目を向けなさい。自分と自分の友だちの枠組みから離れたところを見てみなさい。今あなたたちがいる世界の小ささに気づけたら、気になることが見つかっていきます。

そして最後に、いまは油断しないことをくれぐれも忘れずに。死んでしもたら何もかもおしまい。死と隣り合わせに生きてるこの状況を、規制されてることの理由をきちんと腹落ちさせて、どんなことも「大丈夫」と考えずに慎重に判断すること。取り返しのつかないことを軽々にしないように気をつけてな。そしていつかまたみんなで笑いながら会える日がくることをねーねーは心の底から願っています。