十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

酔っぱらいトーク。

あちこち筋肉痛に悩まされている年もそこそこの夫婦が、遊びほうけたもぬけの殻の状態で仕事をしたところで、さほど会話が弾むわけもなく、いつものように晩ご飯を食べながら酒をいろいろ飲みました。最初はワインです。


「そういえば今日、朝ごはん買いにセブンイレブン行ってんやんか〜」ととーちゃんが口火を切った。なんでもそこのレジの男の子が両手を添えておつりを返してくれたことが気になって仕方ないらしい。「男の子に手ぇ握られてもなあ」と困惑している様子。「そらセブンイレブンやねんから、両手添えておつり返すっていう丁寧な様を表すマニュアルやろ〜」と呑気に私が言うと「ち、違うわ〜!だってボクみたいなおっさんが男の子に手ぇ握られてうれしいわけないやんか〜」と親父憤慨。「あんた、考えすぎやで」と仕事以外であんまり物事を考えたくない私が適当にあしらうと「かーちゃん、わかってへんわ。サービスとしても過剰やねん!」とさらにむきになって言うので「ふふ、ほんだら今度からお姉ちゃんのレジに並んだらええやんか」と言うと「まま、そうやけどな」とまんざらでもなさそうな親父。「ま、そのレジには親父ばっかり並んでるやろうけどな」と言うと、「く〜」な表情で見返す親父。




話題はマーフィー岡田に。マーフィーさんとは、ほらよく百貨店のエスカレーターそばでワゴン販売していたその世界ではカリスマみたいな人。シャッシャッシャッと大きなピーラーみたいなやつで玉ねぎのスライスができたり、キャベツの千切りさえもあっという間にできる人。そんなマーフィーさんに、若かりし頃のとーちゃんは微妙に接触していたらしくワゴン販売の随を教えてもらっていたらしい(←ほんまかどうかは謎)。あの人はプロフェッショナルやねえ、とマーフィートークに花が咲く。



「…でな、ボクがあんたんとこの営業マンやったらな〜」と勝手にウチの会社の営業マンに自分を仕立てて「戦略的にもっとこうして売り上げを上げてやる」とのたまう親父。だいたい「かーちゃんの会社にボクがいたら」という仮想トークに話が及ぶと、とーちゃんがだいぶ酔っぱらっている証拠。だっていませんし、今後将来、未来永劫あなたがうちの社員になることはありませんから。とーちゃんが万一うちの会社にいることになっていたら、そんときゃ私はここにいませんから。なのに「ボクがな社長にこうして話をつけてな〜」とものすごいリアルな感じでイメージを勝手に広げている親父。あのね、こっちの心配するより、自分の会社のことしっかり考えなさい。


と、とりとめのない話をしていたら、勝手に早々と寝ました、親父。ま、酔っぱらいとは、好き勝手にしゃべりたいだけしゃべって勝手に寝るもんです。あ、酒は最後、泡盛です。ワインだけでは終わらんねえ。