十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

デラックスとダイバーシティ。

先週土曜日の25日、奈良県の吉野でハイキングしてきました。吉野にしようと言い出したのはこのわたし。吉野ハイクがどんなものか何も知りませんでしたが、テレビでたまたま見た「葛うどん食べたい!」というだけの理由でした。こんな私の勝手な要望に付き合ってくれたのは、山の辺の道でも一緒やったワインさん(本名ちゃうで)とアキヒコさん(本名やで)の2人に加えて山登り経験豊富なピコちゃん(本名ちゃうで)ととーちゃん。吉野までは俺たちの近鉄特急で阿倍野から一本で、乗っているのは1時間15分。近鉄会員のとーちゃんが機転を効かせ、「行きも帰りも特急指定取っとくわ。帰りはデラックスにしたでえ」と準備万端。

 

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指定席の特急で行くっていうだけで旅感高まるよね。親父はうれしそうにハイボールを開け、私を含む女子たちはお茶やコーヒーで移り変わる景色を楽しみます。吉野は春の千本桜がとても有名で、シーズンになるとどこも人だらけになるそうですが、この日の目当ては新緑。天気も良くてハイキング日和ばっちりやけど、

 

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人ほとんどおらんで。こんなに気持ちええのにみんな桜しか来やんの?ここからすぐのロープウェイ(昭和3年製でドキドキ)で上がり、いよいよ歩き始めです。

飲食店や物販店が並ぶ参道を歩き、まず着いたのが金峰山寺。大きくて厳かで清潔な境内をお参りして、さらに参道を進むけどとりあえずずっとアスファルトの登り坂。今から思えばこのくらいの坂は大したことないねんけど(あんまりおもんない道やな)と思い始めておりました。

 

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後醍醐天皇が蟄居していたと言われる吉水神社に寄ると「柏手を17回」と書いてあるのにびっくり。「よっぽど後醍醐はん寂しかったんやで」と親父が言うので、ここでぽつんと過ごした後醍醐天皇をイメージしてみる。いや知らんけど。小さな神社やけど新緑が美しく、ここから千本桜が見渡せるというので見ると確かに展望が素晴らしい。しかし今から思えばまだまだこのくらい序の口。もっとすごいんだから吉野は。

 

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時間はお昼前でお腹空いてきたし「どこか入ろか?」となり、お食事処にイン。私はもちろん葛うどんのあるところ、親父はビールが飲めるところを譲らず「食べるだけじゃなくて飲むことも大事なんよ。それが真の多様性ダイバーシティってことなんよ」とうるさい。しかも使い方間違うてる。窓から見えるこの景色に涼しい山の風が心地よくて、麺にも出汁にも葛たっぶりの待望うどんをつるりしました。

「で、これからどうする?」と協議になり、帰りのデラックス特急まで時間があるのでしばらくこの先へ進んで一旦水分神社をめざそう、しんどかったらやめて引き返そうというルールで再びレッツラゴー!

 

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あのね、坂道が半端なくてずっとひいひい。急な坂を登り切った!よし!と思ってもその先にまたキューンとした登り坂が待っている。絶望に次ぐ絶望。しかも路面はアスファルトで単調なのもキツい。(誰やこんなとこに行こう言うたんは、ワシや!)と心でノリツッコミしながらひいひいし、さっき店を出たところというのに屋根のある休憩所でひとやすみしていたら親父がぽろりと「もう無理。みんな先に行って。僕はここで待ってるから」とまさかのチキン発言!あんたがそれ一番に言う?その腕のムキムキ筋肉はニセ筋か?このニセモノトレーニーめ!と心中毒付いていたら「とーちゃんそんなこと言わんと頑張ろうよぅ」とピコちゃんとワインさんになだめてもらい、親父なんとか立ち上がりました。

 

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オケツが割れるほど急な坂道を一歩一歩足を運び、ほんとうにようやく見えてきた水分神社(みくまりって読むんやで)。社務所のない無人の神社で歴史がわからないほど古いらしく、安土桃山時代に再建したってどんだけー?てか当時ここまでどうやって材料運んだー? お参りの後展望台が近くにあったので寄ってみたらこの眺め。歩き始めの金峰山寺が遠く下に見えることから、どれだけ登ってケツを割ってきたかが伺えるってもんです。ここをゴールに折り返し、これからはずんずん下るのみ!使う筋肉が違うので最初はラクやったけど、だんだん下りしんどくなっていきましたBBA。何回足の指攣ったかよ。

 

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金峰山寺近くまで戻ってデラックス特急まで時間があるので甘いものでも食べようかとなりましたが(ピコはここですでにソフトクリームいってたけど)、ダイバーシティなんよ、ビールのあるところじゃないとイヤなんよと1人なんか言うとるんで、みんなの望みがかなうお店を探してイン。なんというすんがすんがしい気分。泉のようにこんこんと湧き上がるやり切った達成感。「あとはデラックスで阿倍野まで出て反省会やな!」とまだこの先にある時間にワクワクして吉野駅まで戻りました。

 

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デラックスで乾杯し、阿倍野の酔虎伝でも乾杯してまだまだ元気に飲んで食べてしゃべりまくる私たち。本来、ハイキング部の反省会会場はサイゼリヤと決まっていますが、阿倍野天王寺界隈にないので「遠慮なく飲んで食べて騒げる」ことから酔虎伝を選びました。これ正解。山に慣れているピコもアキヒコさんもしんどかった、キツかったと言うてたけど、いやいや皆さん強脚で顔つきが涼しかったやん。鬼の形相で歩いてたんはうちら2人だけやったやん。「次はどこにするー?」「次は秋やねー」「また山の辺行きたいなー」「やっぱり土の道がええなあ」「木陰もマストね」「今度は逆の天理からでもいいね」とやんやと時間は過ぎていきました。

 

と、ここで終わるつもりでしたがとーちゃんから必ず書いといてと言われてたことを思い出したので付け足し。「最後に入った茶店のおねえさんにさあ、EXILEみたいですねって言われてさあ。うふぅ。とーちゃんってEXILEみたいやんかあ」やて。うれしいんかそれ。このニセモノ見せ筋肉め!