十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

節分の夜に。

本日2回目の投稿です。さっきの給湯器の話は東京行きの新幹線の中で書いたのですが、今は帰りで大阪に向かっています。ちょっと良いことがあったので残しておきたくて。時間もたっぷりあるし、気持ちが熱いうちにまとめておきます。

 

今日は金曜日なので、絶対帰りの新幹線のチケットを買うのに時間がかかると判断し、行きと同時に帰りの指定も取っておきました。打ち合わせは16時から、だいたい2時間ほどやるので余裕をみて19:17品川発の新幹線にしました。ところが打ち合わせが思ったよりも早く終わり、同行していた人たちともその場所で解散となり私ひとりに。さて、どうしよう。とりあえず田町駅まで行って新幹線を早めるか、この新幹線はキープしたままどこかで時間をつぶすか。田町駅近くの飲み屋街を歩きながら、新幹線早めるったってどうせほぼ満席で無理やろうしなーなんて思っていたら、

 

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あ、この店キタ。絶対いい。この周辺は飲み屋街とはいえほとんど新しい店ばっかりでつまらなかったんやけど決めた。ここで時間をつぶしましょう。迷う間も無くガラガラと扉を開けるとテーブル席の奥に厨房があるこじんまりしたつくり。薄いピンクのワンピースをまとったおばあさまがホール担当のようです。「生ビールください。あとは揚げ茄子と鮭ハラスの塩焼きを」とオーダー。

 

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突き出しには温泉たまごが出てきて予想外。お客さんは他にまだ誰もいなくてテレビの音が流れています。ビールをぐびっといってひと息ついていたらおばあさまがまたやって来て出してくださったのが

 

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「今日はね」と福豆。ああそうか、節分やった。結婚してからは豆を買うことも恵方巻きにかぶりつくこともしてなかったからまったく意識してなかった。「ありがとうございます。そうだ節分ですね」とうれしくなってぽりぽり。あれ、福豆ってこんなに美味しかったっけ?

 

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しばらくして揚げなすと鮭が来たんやけど笑けるくらい大きくてボリューミーでびっくり。「え?これ?すごい量ですね」と言うと「美味しいからペロっと食べられるよ」とあばあさま。「茄子はこのお醤油をかけてね」と教えてもらい、食べてみるとあらやだホントに美味。味がどうのこうのというより丁寧に作ってはるのが伝わってくる感じ。厨房を仕切るのはおばあさまの息子さんなのかな?どれも美味しいです。

 

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しっかりペロリと食事をいただいてトイレに行くと、トイレの中の窓枠のところにも福豆をぱらっと置いてあってなんとも粋な。なんていい店。アタリもいいとこ。あたしの選択眼どやさとうれしくなってお会計へ。「もうお帰りになるの?」と言われ「はい、今から大阪に帰るんです」と言うと「あらまあ」と。「でもこのお店に来れてよかったです。ごちそうさまでした」と店を出ようとしたら、おばあさまが「良いお年を」とひと言。瞬間にああ私のほんとの新年はこれからなのかもと思うほど胸にドッキュンとどめを刺され、またもし田町で飲める機会があればぜひともここへと胸に誓いました。

あのまま急くように大阪に帰らなくて良かった。ほんの数十分の時間でこんなに幸せな気持ちになれてうれしい。ほくほくとした気分でいま、大阪に向かっています。