十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

待っている犬。

まだ?

犬というのは、よくよく待たされている生き物だと思う。ご飯を食べるにも「待て」、出掛けるにも「待て」、リードを付けるのにも「待て」と一日中しょっちゅう待たされている。待った分だけ喜びが倍増するのだろうか、サイゾーの場合「待て」の後のリアクションがやたら大きく、「いやっほー!」の声が聞こえてきそうなほど全身で弾けよる。
今日は私の仕事がかなり遅くまでかかってしまい(年末のしわ寄せですわ〜)、サイゾーは帰る気マンマンなのに帰れない。「まだ帰れへんのんか?」と私の顔をのぞき込み、帰る気配がないことを悟ると会社に置いているハウスで眠る。私がちょっと動こうもんなら「帰るんか?!」という期待に満ちた顔で寄ってくるが、そう思う通りには世の中いかない。あきらめて渋々とうちの同僚たちのそばに行き、「まだ帰らんようですねん、ホンマ困りますわ〜」と同情をかうようなふるまいを見せる。なのでサイゾーはよそのお家の犬よりも、圧倒的に待たされている時間が長いと言える。
ようやく仕事を終えて「今日は遅くなってごめんな、疲れたやろ、帰ろうか」とサイゾーに声をかけたのは夜中の11時半過ぎ。通勤に使っているサイゾーバッグ(=リュックタイプなのでサイゾーを背たろうて私は会社に通っている)を開けると勢いよくポーンとバッグにインする。バッグのファスナーをきちんとしめて、よいしょと背負う。……重い。私が疲れているのもあるが、帰りはサイゾーもぐったりでそれだけ重くなってるよう。「かーちゃんも体力つけるからさ、サイもちょっとダイエットしよか」そう背中につぶやいて、ちゃりんこを走らせる。そうしていま、私がブログを書いている間が待ちきれず、小錦の上でサイゾーは熟睡しています。