十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

最後に、ヌッツォ。

テレビ鑑賞中

とーちゃんが遅くなるようなので、久しぶりに一人と一匹で月9でも、としけこむ。泡盛のロックを用意してアテはゆがいたブロッコリー。ちょうど前半だけ見ていたプロポーズ大作戦の最終回なので、で、どうなるん?な気持ちで見入っていた。
するととーちゃんから電話がかかってきて「今から帰る」と言う。なんや、帰ってくんねや。酔っぱらっているようだが、ご飯はいるというので、たたっとあり合わせで用意。健くんこと山ぴーが鉄棒でぐるぐるしている頃に親父が帰ってきて、じゅーじゅーと塩ホルモンを炒めている間に山ぴーが結婚式でもう一度スピーチしている。が、フライパンの音がうるさいのであんまり聞きとれん。なんやみんな泣いてるでー。山ぴーも泣いてるでー。でもワシなんのこっちゃわからん。
で、酔っぱらいの親父相手にテーブルにつき、何杯目かの泡盛ロックをとくとくとつぐ。とーちゃんは今日あった出来事を何やかんやと訴えている。テレビの山ピーは白いタクシーに乗り、そのタクシーを追いかけている長澤まさみ。ああ、もうこのドラマどうなってるねんやろ。
結局ようわからんままドラマは終わり、スマスマが始まる。でも我が家の親父は今日買ったワインの話しや今日あった出来事を何度となく繰り返し話している。ああ、それさっきも聞いたよと言いながら親父の話に付き合っていると「で、結局、ヌッツォなんよ」と親父が叫ぶ。「ラララ、ララララ〜、ランラ、ラーラーラーラララー」とかつての新選組!のテーマソングを声高らかに歌いあげる親父。「ヌッツォが紅白で歌ったときはめっちゃ良かったよねえ」とはじめて会話がかみ合う私たち。そう、あの頃の私たちは大河ドラマ新選組!にかなりハマっていた。龍馬好きの私といえども、認めてしまう新選組の人々の思い。歴史バカでどちらかと言えば倒幕派のとーちゃんでさえ「あー、そう解釈するか」と三谷幸喜の脚本に唸っていた。何度酒を飲みながら語り合い、どれほど涙を流しただろう。それほどヌッツォの歌声は私たちの心に響いていたのだ。
2人で久しぶりに新選組!のテーマソングを歌い上げ、ひしひしと充足感にひたる。今夜のシメはヌッツォ・アゲインで心一つに落ち着いたのでした。