十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

欲しがる犬。

たまごちゃんはオレのもの。

サイゾーのおもちゃに「たまごちゃん」と「おでんちゃん」を買った。たまごちゃんは、卵形したゴム素材に顔が書いてあるだけのものすごいシンプルな作りのおもちゃながら、犬を狂喜乱舞させる驚異的な力をもっている。実際、サイゾーだけでなく、うちのボスん家のダックス2匹も狂わせ、そのお友だち犬たちも狂わせたという実績があるほど、やつらにとって魅力的な「何か」があるよう。確かにチョコレートの匂いを付けてあるので、その香りの効果も高いのかもしれない。
もう一つの「おでんちゃん」は、愛するリリーさんのおでんくんをパクったとしか思えないのだが、こんにゃく、卵、はんぺんみたいなのが串刺しにされ、卵の部分を押すと「ぷー」と音が鳴る仕組み。まあ400円台なので、この値段の割によく出来ているし、たまごちゃんと同じ値段だと考えればコスパは高い。後は、犬が喜ぶか、ということだけが気になるところ。
で、この前、とーちゃんと晩ご飯を食べながら泡盛を飲んでいると、サイゾーが新しいたまごちゃんの匂いをかぎ分け、「たまごちゃ〜ん!どこ〜?」と部屋中を探し、クンクンクンクンして見つけだした。「いえー!やっほー!!」という心の声が聞こえてきそうなくらい、アホみたいに喜んでたまごちゃんと遊びよる。その姿は獲物を捕まえたただの動物。たまごちゃんがきゅーんと息絶えた雀に見えるほど、たまごちゃんをくわえ、ランランとした目でいるサイゾー。そんな時間が15分ほど続いただろうか。たまごちゃんに飽きて、「あるやん、おでんちゃんが」とその存在に気づきよった。
ホントはこのおでんちゃん、いつもお世話になっているおでん屋のおねーさんにプレゼントするつもりだったが、サイゾーに気づかれてしまってはすべておしまい。「くれや〜」「遊ぼうぜー」「おでんちゃ〜ん」とアホみたいに執着し、もうボロっとなったたまごちゃんには目もくれない。やむなしにおでんちゃんを与えると、きゃーきゃー言うて、卵部分を咬んで音を立てて喜ぶバカ犬。ぷーぷー音を立てながら、おでんちゃんはぼろぼろに崩れていった。
そんなサイゾーの姿を見ながら、「あれ?なんか最近こんなことがあったような…」という気になっていく私。。。。。。。。そうそう、あったあった!新しいもんにスグに飛びついてぇ、「これ、カッコいいよね」って言うてたくせに、さらに新しいのが出たら「こっちの方がやっぱりえええやん」と手のひら返すヤツ。もうおわかりですね、たまごちゃんからおでんちゃんにすぐに心変わりするサイゾーは、新しいケータイを欲しがる、いちびりなとーちゃんと一緒やったちゅーことですわ。でんでん。