十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

親父、ジムで女性に話しかけられる。

サイゾーが亡くなってからとーちゃんは近所のJOYFITという24時間スポーツジムに通い続けています。最初は平日だけでしたが最近は土日でも予定次第で「じゃあ朝のうちちょっと行ってくるわ」と9時頃からお昼くらいまで出かけるようになってます。ジムに行き始めてもう9ヵ月くらいになり、上半身に随分厚みがついてきました。ほんと、筋肉は裏切らないねえ。「今日はバーベル100キロ超えたんよ」と親父メシを食べながら報告を受け、「ふうん」とその価値がわからない私は生ぬるい返事をするのみですが、おそらくきっとすごいことなんでしょう。「僕がバーベルをどんどん重くする姿を若いにーちゃんが二度見してるからな。けけけ」と筋肉をつけても性格の悪さは健在です。

 

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その日もいつものように親父メシを食べているととーちゃんが切り出しました。「今日さあ、ジムで筋トレしてたらさあ」「ふんふん」「おねえちゃんがつかつかと寄ってきたんよ」「おねえちゃんってジムのスタッフ?」「いや違う、会員のひと」「若いんか?」「それがマスクしてるからわからへんねんけど、まあ30代くらいかなあ?」「若いがな」「話したこともないひとやねんけど、ちょいちょい見かける人でな。仕事を抜けて昼休みに来てるみたいで」「真面目でエライがな」「僕が知ってるだけでも随分スマートになりはった感じやねん」「ストイックやなそのおねえちゃん。ほんで何の用やったん?」と聞くと、

 

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「そのスニーカーかわいいですね!どこのですか?て聞かれたんよ。びっくりしてさあ」と親父はうれしそうに話す。そのとき履いてたのがこの白のハイカットのadidas。私にプレゼントしてくれたスニーカーですが、親父もよくジムに履いていってるらしい(せやで、足のサイズほとんど同じなんやで)。「ほんでなんて返事したんさ」と聞くと、どこで買ったか、いくらくらいやったか、他にもカラーがあることなど、大したボケも切り返しもなくまじめに答えて「そうなんですね、ありがとうございます」とおねえちゃんはたったと持ち場のマシンに戻ったらしい。「・・・そんだけかい?なんか発展はなかったんかい?」と「いやそれだけ」やって。いざとなったらでけんへおっさんやで。会話広げるチャンスちゃうんかい。「そういうこと禁止されてるからさあ」とまんざらでもなさそうでした。

しかしそのおねえちゃんも、よっぽどこのスニーカーのことが気になったんやろうなあ。でないとこんな親父に声かけようって普通思わんよね。最近はこのジムのスタッフの人とも少し会話をするようになったらしくて(JOYFITはスタッフがレクチャーしないシステム)、筋肉を増やすだけじゃなくてこの町に知り合いが増えるのも良いことやなあとこっそり思っています。