十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

あたまのなかのおんがく。

父方の叔母が筋力の落ちる病気になった。何度検査しても詳しい病名はわからず、ただただ日々筋力を失い、数ヶ月前に自宅に見舞いに行ったときはなんとか自力で歩くことができ、座って話をしてくれた。「具合はどう?」と聞くと、「まあねえ。からだがうごかんからこまるねえ」ととてもゆっくりしゃべる。もともと叔母はしゃきしゃきと動く、隙のないしっかりしたタイプであるがその姿は見る影もない。長年にわたる夫とふたりのおしどり夫婦の生活で、家事をしたことのなかった(する必要がなかった)叔父が主夫として炊事洗濯を切り盛りしているのも意外だった。「あのねえ、あたまのなかで、ずっとおんがくがながれてるのよ」音楽?どんな?と聞くと、この質問が聞こえてないのか単に答えられないのかそのまま黙ってしまった。ずっと音楽が流れている状態とはどういうものなのか?想像もつかないけれど叔母にとってそれはとても不快なものであるようだった。

 

今年叔父から届いた年賀状で、叔母が入院していることを知った。母や妹と相談し、三連休の中日の今日、お見舞いに行くことにした。仕事に出ようか迷ったものの、来週以降はまた忙しくなってなかなか顔を出せない状況になるため、妹のクルマに同乗させてもらうことにした。4人部屋の病室に入ると、叔母は上を向いて眠っていた。あの日からずいぶん痩せて髪も短くカットされている。母がゆすって声をかけるとパチリと目を開け、私たちを見渡し、私たちの名前を言う。そして妹が去年から義父母と同居していること、アオコが病気になったことなど私たちの状況をさっき聞いたことのようにつぶやき「たいへんやったねえ」と言う。そう、彼女はひとつもボケてない。叔父から話して伝えてもらった年賀状の内容を全部頭に入れてきちんと記憶している。もちろんその前に聞いたこともすべて覚えている。私は叔母にもらったコートを着ていたので「それ、ようにおてるねえ」と少しだけにこりとする。

 

お母さんが叔母のためにもってきた干し柿を口に入れると、むちゃむちゃとしながら「あまいなあ」と言う。爪を切り、ブラシで髪の毛をといてあげると気持ち良さそうにしている。不器用なわたしは切ったばかりの爪にニベアをのせてのばしてあげた。顔は無表情だがきっととても喜んでいる。

 

「おばちゃん、テレビは見いひんの?」と聞くと「もともとテレビはみてないしなあ。みみもちゃんときこえへんし」という。何も見ず、刺激もなく、1日どうして過ごしているのか、毎日何を考えているのだろう。こんなに頭ははっきりしているのに。思考も論理も感情も持ち合わせているのに。神様はなんでこんな人にこんな病気を与えるのだろう。「今日はわたしと典子の誕生日なんですよ」とお母さんが言うと「いちがつじゅうににち。のりちゃんがうまれたときにでんぽうをおくったわあ」と言う。そうやったんやね。52年前の私が生まれた日にそんなことがあったんやね。

 

叔父が来て、しばらく話してから私たちは帰ることにした。「あきらめたらあかんよ」と声をかけたけど、果たしてこの言葉は適切だったのだろうか。「また来るね」と言うと「むりせんといてや。とおいからな」と気遣いする叔母。まだ彼女の頭の中では音楽が鳴り続けているのだろうか。私たちが一生聞くことのない、不快な音楽が。

ノロの顛末。

初出を済ませた月曜日の夜。翌日のお弁当の準備をしていつものように就寝しました。朝6時にサイゾーが「シッコ行きたい」と起きたのでトイレに連れて行き、私は白湯を飲んでもう一眠りしようとベッドへ。異変が起きたのはここから。気持ち悪いな、なんでかな、そんな飲みすぎてないのにな、と思いながらうつらうつらしていたところ、「もうあかん」となってトイレへ駆け込みリバース。これが朝7時。何事が起こっているのかわからないままベッドに戻るともう苦しくて仕方がない。「8時やで」と起こしにきた親父に「そんな場合やない」と言い、地獄の時間がはじまりました。

 

寝ていてもとにかくつらい。気分が悪いだけでなくどこかが痛いような気がする、息が上がる。「なにこれー」「しんどいー」「死ぬー」「あかーん」とひとりベッドでのたうちまわり、うわごとを言うしかない。スマホを見るのもしんどいなか、仕事関連の連絡を入れるのがやっと。救急車を呼ぼうかと考えながら1時間弱のタームでトイレに駆け込み、上から下から何から何まですべて出ていきました。もうカラッカラです。

 

お昼を過ぎてようやく落ち着きはじめ、まともな眠りにつくことができました。目が覚めたら15時半。近所の病院の診察がはじまっているので起きることに。ふらっふらになってうちのDr.Gのいる病院に着くと奥のベッドに案内された。ありがたい。Gは私の症状をひと通り書き出し、舌を見てお腹をさわり、「まずはインフルの検査をしましょう。お腹にくるインフルもあるからね」と検査するとこれは陰性。「そしたら多分ノロかロタウィルスですね。脱水してるから点滴しますね」とベッドで1時間液を入れ、ふらっふらで帰りました。

 

ノロて。なんでやねん。どっから入ってきよってん」ととーちゃんに話し、胃が落ち着いてきているのでおかゆを作ってもらう。お茶碗に軽く一杯食べて薬を飲み、「ほな寝るわ」と寝室に戻ったとたん気持ち悪くなってトイレへ駆け込む始末。ええ加減にせえよノロよ。しつこいなお前。薬まで出て行ってしもたやないかボケ。その後仕事の段取りをつけて、夜に同僚がマイパソコンをうちまで持ってきてくれました。在宅勤務体制です。

 

結局水曜日と木曜日の2日間は家で仕事をしました。水曜日は体力なくて起きてるのもしんどかったけど、幸い胃腸ともに暴れることはなくなっていたので白湯を飲みながら仕上げないといけない原稿をなんとかやり切り、木曜日は企画仕事を仕上げてノルマはきっちり達成。こんなときでもできる子やあたし。食事は相変わらずまともに食べられなくて、おかゆや雑炊などをちびちび食べてました。木曜日の夜にはずいぶん落ち着いてきてやめていた酒(え?当たり前?)も復活(といってもチューハイ1本がやっと)させ、おかずも食べられるようになり、金曜日にめでたく出勤できました。

 

なぜ、いつ、どこから私がノロに感染したのかはわかっていません。日曜日の夜に食べた鍋の牡蠣があたったのか、年明けから5日間お腹を壊していた同僚から譲り受けたのか、他のふとした経路なのか謎のままです。でも確かなのは私の身体がノロウィルスに負けた、許したほど弱かったということ。年末年始の飲み過ぎで水分が不足していた、大掃除やらを頑張り過ぎて実はとても疲れていたことが要因だったのかもと振り返ってました。もうあんなみじめでしんどい思いはしたくない。みかんのゼリーの上のゼリーのところだけちゅるっと食べただけやのにお腹がピーとなる情けない思いはしたくない。ただ今になって思うのは、この件で身体が一掃され、本当の私の2020年がはじまったのだとポジティブに捉えています。

 

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2019→2020

明けましておめでとうございます。まったくもって更新できてなかったこのブログ、今年はもうちょい更新していかなと反省しています。こんなに書いてないのにちょくちょく見にきてくださってるようで申し訳ない。さーてまずは年末年始を振り返りましょうか。

 

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休み初日の28日はくたりーのお誘いでイトウちゃんの火鍋会に参加させてもらいました。せやで、茨木の天才シェフイトウちゃんやで。お好み焼き屋さんやのに得意料理は中華のイトウちゃんやで。今回はとーちゃんリクエストのしめ鯖を用意してくださり、具沢山の特製火鍋をみんなで楽しく囲みました。マンションの一室での開催やから家のようにリラックスできるのもありがたい。この一年は何度もイトウちゃんのお店で美味しい中華(だからほんとはお好み焼き屋!)をたくさんいただいたなー。来年のお正月はイトウちゃんのおせち料理をお願いする予定です。「僕の一番は、せやなエビチリやな」言うてたからエビチリもおせちに入れてやイトウちゃん。何回も言うけどほんとはお好み焼き屋さんやねんで。

 

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さて大掃除。29日からは掃除に明け暮れました。毎年書いてると思うけど私は出来る限り大掃除をちゃんとしたいタイプ。今回はとーちゃんがめちゃくちゃ頑張ってくれて、面倒な換気扇や窓掃除も積極的に取り組みお利口ぶりを発揮しました。「かーちゃん、窓拭き専用のシート買うたんよ。これサッシ用とか種類別にいろいろあるらしいねん」「ふーん。それ何が違うの?窓のやつでサッシ拭いたらあかんの?」「さあ。。。」「中身一緒ちゃうんか」といいつつもこの窓拭きシート、かなり便利やったらしく「窓拭きが楽になった!」と喜んでました。私は性格が悪いので今度種類別に買い揃えて成分の違いがあるのかを確認したいと思ってます。

 

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手ががさがさになった大晦日、今回はこちらも今年大変お世話になった蕎麦喜さんの年越し蕎麦にしました。お出汁がやさしくもちろん蕎麦も美味。ずっと今井の蕎麦やったけどこれからは蕎麦喜さんので年越ししたいと思います。

で大晦日といえば紅白。はじまる前にはお風呂で身体を清めてスタンバイし、オープニングから終わりまでがっつり見届けました。まあサザンの後やしそこまで期待してなかったけど、紅白プロとしては盛り上がりにかけ、かつ散漫な内容やったと思う。ラグビー引っ張りすぎてどちらかというと気の毒やったし、百歩譲って別スタジオからの中継はアリとしても録画はあかんやろ録画は。何があっても生放送貫こうや紅白。そこ許してしもたらなんでもアリやん紅白。来年は嵐の最後で盛り上げるつもりやろうけど、初心に戻ってもらいたいと紅白プロは願っております。

 

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新年を迎え、1日はお友だちが遊びに来てくれました。いつもの飲み友達ののんべーさんに京都に住むトラピーこと千春さん。後からうちの同僚女子もやってきて賑やかな時間となりました。用意したメイン料理はとーちゃんお手製牛頬の赤ワイン煮込み。箸でほぐれるほどのトロントロンで素晴らしい出来栄え。年末から時間と手間をかけて作ってただけあって、みんな喜んでくれました。トラピーととーちゃんは珈琲泡盛について盛り上がってましたがそのへんはまた改めて。みんな来てくれておおきにでした。今年もいろんなところで一緒に飲みましょう!

 

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あらもう2日です。この日は毎年うちの実家で過ごすことになっていて、サイゾーも一緒に参加しました。お母さんお手製のおせち料理に九州の馬刺しやお造りなどなど豪華でウマウマのラインナップ。飲んで、しゃべって、食べて、笑って、夜まであっという間に過ぎていきました。甥っ子姪っ子がすっかり落ち着いて一緒に話せるようになったのもうれしかったな。甥っ子はこの春から大学生で一人暮らしをはじめるらしいからね、すごいよね早いよね。「彼女を軽々に引っ張り込んだらあかんぞ。気ぃつけろよ」ととーちゃんからアドバイスされてましたけどね。ま、彼は慎重なタイプやから大丈夫と思うけど私はちゃんと勉強できるかが心配。ラクな方へ流されるなよー。

 

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3日は家で何もせずのんびり過ごし、昨日の4日はまたまた実家メンバーと一緒に映画を観てきました。去年は当時話題の「ボヘミアンラプソディ」をみんなで観賞しまして、今年選んだのは韓国映画の「パラサイト」。アカデミー最有力とか言われてる作品で、私も観たいなーと思ってたのですごい楽しみやってんけど何とも言えん後味。気になる人はまあ観てください。としか言えんわ。映画の後にみんなでイタリアンをいただき、またまた飲んで食べてしゃべり倒しました。話すネタは尽きないね。

 

ということであっという間に年末年始の休みが過ぎ、明日から通常モードです。振り返ってみるととにかく飲んでた!それだけは胸張って言える!どこででも飲んでた!間違いない!

で、最終日の今日はどこにもいかず年賀状でも書きながらゆっくりします。今年の年賀状はいつものサイゾーバージョンです。なかなかかわいい出来栄えですよ。知人の皆さんはそのうち届くと期待せずに待っててくださいね。

さあ今年もきっと忙しくなるで。大変なこともたくさん起こるで。それでもとにかくおもしろい方を選びながら収穫のある1年にしていきたいと思っています。今年もよろしく!

 

 

 

 

結局、脂!

ブログに書きましたっけ。今年の健康診断で人生で初めて「ダイエットしましょう」と書かれたこと。私はもともと細身の子で、医者に注意されるまで太ったことはなかったんやけど人生50にしてとうとう言われてしまいました。かなりきつめの糖質制限で体重落としたのは何年前のことでしたかいな?あれからゆるゆるとなんとなく糖質を減らした生活をしてきてこんなことになったわけです。体重がめちゃめちゃあるわけじゃないけどコレステロール中性脂肪が高い。もちろん腹には襦袢がまきついてる状況で、どないしたらええかいのうとここのところずっと考えてました。

 

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全体的な食事の量はそんなに多くないし、ドリンクはノーシュガーやし、お菓子はほとんど食べないので私の食生活の過多なものって酒しかない。おい、この腹は酒のせいか!と考えましたが、カロリーも糖質も低めのチューハイ(宝のやつやで)に泡盛でしょ?もうどうしようにもないねんなー。これ減らしたら生きる意味なくなるやん。そこで改めて考えてみたら、糖質は摂ってるのに糖質制限で許されてたハイカロリーものも許してることに気づいた。例えばマヨネーズは糖質制限ではOK調味料で砂糖の多いドレッシングはNGというルール。こういうことも継続した食生活だったのね私。そうか、カロリーか!(え?いまさら)と気づいたわけです。おっそ。

 

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そんな折、仕事で脂肪について勉強することになり書物を紐解いてみると、脂肪を燃やしたいなら糖質は不可欠、完全カットの糖質制限は良くない(糖尿病とかは別やと思うで)、タンパク質と炭水化物のバランス大事、野菜先食べもそんなに意味がないなどなど眼から鱗の情報ばかり。てかもう本質的な当たり前すぎる話やけどいろんな情報に振り回されすぎてたんやなこれまで。余計な脂を控えてバランスよう食べろってことなんよ結局。よし決めた、脂を減らそう。ラーメン食べるなら蕎麦、蕎麦にするなら天ぷら蕎麦よりきつね蕎麦や。ドレッシングは出来るだけノンオイル。脂に注目していこう。

 

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目標は来年の8月。せやで高知行きが最終ゴールや。こういう生活習慣ダイエットは時間がかかるので春までと夏までの区切りを作って成果を見ていきます。脂肪を燃やすために必要なもう一つの要素、筋肉つけなあかんこともわかってるけどそれは春からの検討材料としよう。まだまだ諦めてはいけない。来年の健康診断よ、覚えとけ!

自転車のカゴを買った理由。

気がつけば今年も2ヶ月を切り、いったい私は今年何をしてたんだ?と思わずにはいられない時間の速さにおののいています。感覚的には6月くらいやでしかし。またいつもの大掃除がはじまる。私を追い詰める大掃除がやってくる。セスキの詰め替えを大量に買うとかな。正月やってさ。ひー。

さてそんな毎日のなか、先日あるものを買いました。それは自転車のカゴ。わたしの愛車紺太郎はトーキョーバイクというブランドのクロスバイクで、カゴ無し泥除け無しの出来るだけオプションを排除したスタイル。荷物は背負うのみを貫いてきましたが、この紺太郎にカゴをつけることにしたのです。

 

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これな。つけ外しが簡単なタイプでパーツを合わせて15000円ほど。関係ないけど今ならキャッシュレス支払いで5%還元と書いたポスターが貼ってあったので「なあなあこれって現金で買うよりクレカで買った方が安いってこと?」と店のお兄ちゃんに聞いたら「そうですよ」と言う。「ほんだらクレカで払いますわ」となってんけどややこしいよねこのシステム。スーパーライフに行ってもチャージで買ったらポイント倍とかさ。几帳面な人はちゃんと選んでお得にしはるんやろうけど私みたいな雑なタイプにとってはほんと苦手。これから現金を使うことが減って財布も小型化していくんやろうなー。

 

で、カゴ。なんでこのたびわざわざカゴをつけることにしたかというと、

 

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そう、サイゾーを載せるため。今までサイゾーと出勤する時はタクシー一択でしたが、自転車で一緒に行けるようにしたらええやんと。会社に限らず病院やさっと連れて行きたい近所の移動も自転車で行けるようにしたらええやんと思い立ったわけです。痴呆対策の刺激にもなりそうやしね。カシコやわ。

 

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じっとできるかな?と思いながら先日初チャリ出勤しましたが、この状況をわかってるんかわかってないんかわからんのやけどもともかくジーッとしてました。犬って風に当たるの好きなんでそれなりに気に入ってたのかなと思います。これからますます寒くなるんで防寒を考えなあかんけど、一緒に行ける場所と機会が増えるかなと期待しています。

我が家の応援スタイル。

とーちゃんはラグビーの名門D大学(今は強いんか知らんで)出身で、「ワシはあいつらの先輩なんじゃガハハ」と超有名ラガーマンを呼び捨てにする性格の悪いおっさんです。高校の頃にラグビー部にほんまちょこっと関わった経験があることから、ラグビー愛は強くもちろんルールもよく知っています。この度のワールドカップにはもちろん注目していてジャパンの熱い戦いぶり、そして海外チームのタフさに目を見張っております。ほんとすごいね大躍進。私はニワカとしてルールを教えてもらったり、「なあスクラムやってみたい」と親父にお願いし、2人スクラムをしてみたところいつのまにかレスリングになっていたということもありました。さて本気とニワカの夫婦ふたりで迎えた昨夜のスコットランド戦、皆さんご存知の通り日本が決勝リーグに上がれるかどうかがかかる大一番。親父は試合前から「スコットランドの酒を飲み干してやるぜガハハ」と残りわずかなスコッチウイスキーをちびちび飲んで士気を高めておりました。ほんまちんまいで。

 

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中継が始まり、私はもう君が代を歌ってるところから泣いてました。台風19号で被害が甚大となり、試合が中止になった海外チームも多数ある中、試合ができる感謝と勝つことへの思いがどれほどだったかと想像すると泣けてきた。そして試合開始。先制点を取られたもののすぐに取り返し、「勝てる!勝てるぞ!」とゲームは白熱していきます。そんなとき、

 

「なあ、お風呂入ってきていい?」

 

と信じられない言葉が。「はあ?何言うてんの?あんたあんなに楽しみにしてたやん?」

 

「だってなあ、見てるの怖いねんもん」

 

出たで、いざとなったら弱腰になる逃げグセが。60過ぎたジジイが言うことか。小3か。「勝手にしなさい」と言うと「入ってこよ〜っと」とそそくさと風呂に行きました。そんな状況をときおりTwitterでつぶやきながら、各地にいる友とともに応援している気分を楽しんでたら日本のトライが続き、歓喜歓喜!すごいすごいの状態に。点差がついたところで一応風呂場に報告に行くと「よっしゃあ」と声を響かせる親父。Twitterでは「(勝ってるのは)とーちゃんが風呂に入ってくれたおかげ」なんてつぶやきも出て、オモロイ空気に包まれていました。

 

親父がお風呂から上がり、後半がはじまると試合は一転して日本が押される展開に。そしてスコットランドに追加点!Twitterでは「とーちゃんが風呂から上がったからや」という空気がたちこめています。「あんたが風呂から上がったから点入ったとみんな思ってるで」と言うと、

 

「わかった。もっかい風呂入ってくる」

 

と立ち上がる親父。すすっとさっき置いたばかりのバスタオルを持ち、ためらうことなく風呂に向かいました。まあね、こういう心境ってタイガースファンを長年やってると染み付いてたりするのよ。「自分が見てたら負ける」ジンクスあるのよ。早速「親父ふたたび風呂に入りました」とつぶやくと親父への賛美が巻き起こるTwitter。なんやこれ、可笑しい。可笑しくて腹よじれる。応援はジャパンにしようよ。親父じゃねえよwww

 

試合はさらに激しさを増していきます。スコットランドが勢いを増し、追加点がじわりじわりと入っていく中、我が家ではザッパーンザッパーンと水の音が響いています。さっき風呂入ったばかりでこんなに長い時間親父何しとるんやろ?という疑問が湧いてきますが試合はさらに緊迫。「とーちゃんもうちょっとがんばってー!」「ふやけてても出てこないでー」というこっちへの声援が合間に届き、もう可笑しいて可笑しいてナニコレと思いながら観戦。そして日本の勝利!勝ち抜いた!素晴らしい。すると親父が風呂から出てきて

 

「よっしゃ。ようやった!」

 

とほとんど試合見てないのに満足した様子。Twitterでは「とーちゃんありがとう」「とーちゃん決勝リーグもよろしくー!」という声が上がり、まるで戦い抜いたラガーマン気分でまんざらでもない風でした。

 

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「でさあ、長いこと風呂で何してたん?」と聞くと

 

「やることないから風呂洗ってたんよ」

 

やって。お利口さんでしたね。時間有効に使えたね。今度の試合は寝室にでもこもって掃除しといてもらいますかな。ともかく違う意味で盛り上がったワールドカップ予選でした。オモロかった!

 

全身麻酔をした17歳の犬。

サイゾーが胃腸炎にかかって病院に行ったとき、ずっと気になっていたことをテンダラー先生に相談しました。「歯がポロポロ抜けてきて多分痛いんやないかなと思うんです。せやけどこの歳で全身麻酔して治療するのは無理かと思ってて」「たしかに口は触らせてくれないですね。痛いんかな?サイゾーくん」「怒りっぽくなってるのにも関係してるんちゃうかなと」「お母さん、いろんな考え方がありますけどね、僕は全身麻酔のリスクは年齢よりも体調やと思います。血液検査をして調べて問題なければできると思いますよ」と先生は言う。「できますか?」「サイゾーくんなら多分ね」。となり、ひとまず胃腸炎のこともあるので血液検査をしたところ、「肝臓の数値まで落ち着いてますね」とどこも悪くないことが判明。おそるべし17歳。またしてもおりこうオブおりこう犬。「お母さんそれでね、どうせゼンマするなら、CTも撮っておきませんか?中も見たいんです」と先生が言うので「なんぼしますのCT」とまずは話はそこからだ、の関西人。「歯の治療とCT合わせて5万円くらいかな」と正直に即答する関西人先生。「多分今回のゼンマがサイゾーくんの人生の最後になると思います。医者としたらこの機会に内臓の状態を知っておきたいんです」「中を見るってことは、つまりガンがあるかどうかですよね?」「ほぼそうですね」「先生、サイゾーにガンあると思う?」と聞くとニヤッと笑って「無いと思うな!」「せやんなあ〜」と談笑。せやな。わかた。5万円はとってもとっても痛いけど「やりましょかCT!」と腹をくくりました。

 

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その日は午前中に病院にサイゾーを預け、「CTを撮ってなにか緊急なことがあればお電話します。電話がなければ17時以降に迎えに来てください」というシステム。そわそわしながら酒を飲むわけにもいかず(さすがに不謹慎かと自制)午後からは家で仕事をしてました。2時を過ぎては「そろそろ始まってるかな」3時を過ぎては「もう終わってるかな」4時になっては「もう電話かかってけえへんかな」と思う親心。とーちゃんは朝からスロージョグがてら神社を5つ回ってサイゾーの無事を神頼みしていました。5時を回って迎えにいくと、ボケーっとした状態のサイゾーが先生に抱かれてやってきました。

 

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歯の治療のことを聞いた後、話は気になるCTの結果に。頭上からのスライド画像を見せられながら要は「どこも悪くない」ことが判明。「この歳なら普通どこかに結石があるもんなんですけど、どこにもありませんね」とテンダラー先生もびっくりの健康体オジイわん。ガンどころか石すらないおりこうオブおりこうふたたび。「今夜はごはんを少なめにして、明日からは普通に戻していただいて結構です。いやあすごいな、えらいぞサイゾー!」と先生や看護師さんに笑顔で送ってもらい、ぎゅっとサイゾーを抱きしめて家に帰りました。

 

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「もう大丈夫!」と思っていたところ、家に帰ってからのサイゾーはとにかく寝る。どこででも寝てる。お腹ぺこぺこやろうとご馳走を作っても見向きもせず寝てる。「まあ麻酔が残ってるんやろうね」「疲れたんやろう」と言いつつ次の日は大丈夫と思ってたら、翌日も昼ごはんも食べずにずっと寝ていたらしい。さすがにちょっと心配になってきて、夜も食べへんかったら先生に電話で聞いてみようと思っていたところ、夜になってやっとウンチを大量に出し、晩ご飯もペロリした!ようやく内臓機能が復活した模様!万歳!

 

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歯が治った(そういや歯も年の割には残ってるらしくここにもおりこうが)こともあり、その後のサイゾーはご飯をよく食べ、ときに文句をたれ、時間が経つごとにいつもの性格の悪いサイゾーに戻っていきました。あ、今も「腹減った。もう昼やんけ」と起きてきましたわ。もちろん目はまったく見えてないし、粗相をすることも増えてるけど、それでもOK。今の瞬間のサイゾーがより愛おしく、こうして晩年を安心して過ごせることに先生たちに感謝します。このまましばらく行こうな、サイゾー