酒がなかったら、というかどちらかが酒好きでなかったら、私たちはとっくに別れてたんじゃないかと思う。夫婦の関係なんて、そんなに向き合って話すことがない。話の共通項となるのはうちなら犬のことくらいで、仕事の内容も全然違う者同士、毎日のように話し込めるネタはないものだろう。
ところが、酒が入ると向き合っていろんな話ができるから不思議。うちの場合は、酒が入ると途端に会話が盛り上がる。やれ政治がどうのとか、冥王星がどうのとか、今日の仕事がこうよとか、脈絡なしにポンポンと話が弾んでいく。くいくい飲んで、なんやかんやと話をして、あっと言う間に夜が更ける。
ケンカをしていて、なんとなく気まずくて、でも酒が入ったらしらないうちにいつもの調子に戻ってる。これも酒のチカラ。お酒を交わすという時間がなかったら、いつまでも気まずいままかもしれない。仕事が忙しくて、ろくに家で食事がとれない日が続いても、その分週末には必ず一緒に飲んで、一週間分の空白を酒と会話で埋めていく。
一般的に夫婦二人で飲んで、話してという姿は結構珍しいらしい。とーちゃんはよく「嫁はんと一緒によう飲めますねえ」と会社の人に驚かれるそう。でもそんなご夫婦でもたまには一緒に飲んでみたら、と思う。酒と一緒に向き合う時間が、一番のつまみになるはずやから。