十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

10億円で命を差し出した親父。

前回のハエ太郎にはたくさんのアクセスをいただきありがとうございました。珍しくFacebookにもシェアしたから初めてお越しいただいた方も多かったのかな?そうですよ、酒と犬と親父が主役の高尚なことなんてなに一つない端っこブログですが、よろしければご贔屓にぃ〜でんでん。

さて先週の日曜日のことです。あたしたちが住むアーバンエリアの川沿いに新しいカフェが出来ていたのでとーちゃんとサイゾーと一緒に行ってきました。ビールを飲んでハンバーグプレートを頼み、ふうと落ち着いたらとーちゃんがこんな話を切り出してきた。「かーちゃんあのな、こないだ夢にドラが出てきたんよ」。ドラ?こないだ若くして亡くなったワインラバーのあのドラ?

 

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とーちゃんが家に帰るとリビングに誰かがいる。こちらに背を向けて、床に座り込んでいる。その見覚えのある背中から「お前、ドラか?」と声をかけるとくるりと振り返り、「はい、ご無沙汰しています」と言う。「何してんねん、てかお前、なに勝手に上がり込んでうちのワイン飲んでるねん」「いや僕、これが飲みたかったんですよう」と開けているのはバルベーラのカーゼコリーニ。「まあええわ、どうしたんやいったい。まさかワシを迎えにきたんやないやろうな」ととーちゃんが聞くと、ニヤっと笑って「ご明察!」と答えるドラ。

 

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「いや私、死神として公務員の嘱託やってまして。あっちも就職難でしてなかなかまともな仕事に就けないんですよ」「あっちでも仕事に就かなあかんもんなんかい」「別にいいんです、仕事しなくてもやっていけます。ただ生きがいっていうんですか?なんかやりたくなるもんなんですよ」「へえ。死んでるのに生きがいって可笑しなもんやな」「まあね。それで私にもノルマが一応ありまして、こうしてお迎えにきた次第なわけです」

 

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「なんでワシやねん。他にもおるやろうが」「いや私、若手の方なんでなかなかちょうどいい対象の方を知らなくて」「歳いってる知り合いから選んでるってわけか」「ご明察!」「まあええ、ドラの言いたいことはわかった。せやけどワシもはいそうですか、と簡単に命を差し出すわけにもいかん。そこで提案やけどな」「はい」「命は3年待ってくれ。3年たったら連れていってくれてええ」「はい」「だだし。ワシに10億円当ててくれ」「10億!それはなかなかな金額ですねえ」「ワシに10億円をくれたときから3年間猶予をくれたらそれでええ。心置き無くそっちに行ったる」

しばらく思案したドラは「わかりました。その契約で結構です」と交渉成立。とーちゃんは10億円もらって命を捧げることになったそうです。

 

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そのあと天国への行き方を途中までドラに連れていってもらい(これはこれで興味深かったけどカッツアイ)、10億円の使い道としてマンションを福岡と高知に購入していたりととてもリアルで意地汚い親父の夢トークが続きました。「ほんでとーちゃん、ドラは気ぃようやってたか?未練とか無さそうやったか?」と聞くと、「うん、完全に吹っ切れてたよ」ならしいので少し安心。しかしなんて素晴らしい夢や。10億もらって3年後にはあたしフリーやん。さあ。そろそろボーイフレンドでも探しときますかい。ヘイヘイ☆