十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

”みほ前”か“みほ後”か。

その“みほ”とは何者なのかを説明する前にもうひとつのこの旅のルールをお話ししておきます。今回は「知力」「体力」「時の運」を試して総合優勝を決めるという試みを用意していました。「知力」はとーちゃんが出す知的(?)な問題で正解者に点数を付与し、「体力」はもちろんパットパットゴルフの順位で点数化。そして「時の運」は、みんながこの旅で見たもの触れたものなどから一人一問出題して正解者に点数を与え、総合優勝が決まるという仕組みです。私は旅の前から、時の運出題を私たちについてくださる中居さんの名前で出そうと決めていました。そう、私たちの部屋三組をまとめて担当してくれたのが他でもない“みほ”さん。60歳前後でしょうか、少しふくよかな印象のみほさんは、チェックイン後の私たちに部屋を案内し、お茶をいれ、館内の簡単な説明をしてくれました。よくある旅館の流れです。このとき酒を買いに行きたい私たちはさっそくみほさんに近くのコンビニの場所を確認。すると「ここを出て右に曲がって国道があってその国道のなんちゃらかんちゃら✖️✖️✖️したらローソンがあります」と土地勘のない私たちには要領を得ない説明ながらローソンがこの辺りにあることは何とかわかった。さらにみほさんは「あともう一軒✖️✖️✖️✖️ほにゃらほにゃら行ったらローソンがあります」と「二軒目もローソンかいっ」とツッコミたくなる説明をしてくれ、ともかくローソンがあることだけは確かなので「世田谷、悪いけどググって」とみほ情報をなにも生かすことなくローソンに向かったのです。

 

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ガロさんと宴会場所の部屋をチェックしに行ったところ、とても広くて最高の環境。「良かった!ええね」と2人で喜んでいたらそこにみほが登場。「そうそうサプライズのケーキなんですけど」「はいご用意しています」「あれを出すタイミングなんですけどやっぱりデザートのときですかね」「まあそのつもりでご用意しています。それで一応お祝いということなので祝い箸に変えさせていただいておりますので」となんならドヤなみほ。おいおいちょっと待てい。なにその余計なはからい。「あのね、サプライズなんで、祝い箸はいらないです。全員分普通のに変えてもらいますか?」と噛んで含めるように私が言うと「あらそうなの?」みたいな顔して「わかりました」と従うみほ。ヒヤヒヤするわ。

 

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そしてそのあと聞いてみた。彼女の胸には間違いなく「みほ」と平仮名で書かれたネームプレートが付いている。「みほさんのそのお名前って・・・」と由来を聞き、その答えを1人で聞いた私は心でガッツポーズ。これは時の運クイズに使えるわ。ひひひ

 

 

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19時前になって私たち女子が宴会場先にに入り、適当に席に着いたところ、アオコとヨーコたちがありえないものを発見。もしかしたら第一発見者はケイさんだったかもしれない。「これなんやろ?」と言うてるので見たら、プレゼントらしき細長い箱がひとつ。おそらく宿からの心温まるささやかなケイさんへのプレゼントなのでしょうよ。間違いないでしょうよ。瞬間ヒヤっとする私たち、そこで機転を利かせたアオコが「何かの間違いでしょうね。返してきますね」とササッと席を立つ。みほめ。何さらしてくれてんや。祝い箸のあたりでそれ気づいとかなあかんやつやろ。ケーキの入場タイミングがますます不安になっていく。

 

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そして宴会がスタート。上手くできるかというドキドキに加えてみほへの不安を抱えながら宴は楽しく過ぎていきます。時の運クイズをみんなが出す時間になり、私からいよいよ出題に。「私たちを担当してくださっているここにいらっしゃるみほさん(みほペコリ)、このお名前は苗字がみほでしょうか、名前がみほでしょうか、それとも源氏名でみほでしょうか!三択でどうぞ!」とシンキングした後解答発表。なんと答えは「源氏名」でした!なぜ源氏名でみほなのか?ここで働く人はみな源氏名ルールなのかを知りたくて聞いてみたところ、「ええ、私のこの名前は本名とまったく関係ないんですけど、みんなはまあそれぞれね、ほんとの名前を付けている人もいますしそうでない人もいてまあ私のみほはほにゃららほにゃほにゃ✖️✖️✖️」とやっぱり要領を得ない。もうこのあたりでわかっててんけどな、聞いてもよくわからんってことは。

 

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心配していたケーキのタイミングについては何とか成功して、翌朝のチェックアウトに時間を進めます。支払いをしている間もロビーに佇み、私たちを見守り続けるみほ。会計が終わったらみんなで記念写真を撮りましょうと勧めるみほ。令和の額縁を半ば強制的にそうちゃんに持たせてスマホで撮影してくれるみほ。クルマに乗り込み、出るそのときまで手を振り深々と頭を下げて見送ってくれたみほ。どの瞬間もあらゆるみほが刻み込まれてしまったのです。

 

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金沢の居酒屋「黒百合」でビールの後に日本酒や焼酎を飲みながら、あまりにもキビキビと無駄のないスタッフの動きとサービス精神に目を奪われる私たち5人。「だからさ、みほを経験した私たちには相当良く見えてしまうのよ」「そりゃ確かにそうや」「大事なのは今の私たちが“みほ後“ってことなのよ」「せやな。みほ前のわたしらやったらここまで感じひんかったかもしれんな」「だけどねーさん、ヨーコはね、次にまたあの宿に行くことになってもみほさんでいいと思うの。なんなら指名する」「あえてのみほチョイス?」「だってこんなに楽しませてもらったじゃない。ネタになったじゃない」と一同ゲラゲラ。思い返すとケーキ出すタイミングの確認もまったく要領を得なくて「わかりました。じゃあデザートが出たらここに、そうここにね、ケーキを置いといてくださいね。私が取りに来ますからね」と何度念押ししたことか。それでもみほ指名しますか。まあそれもおもしろいよね。またあの宿に行くことがあるかどうかはわからんけど、もしそのときがきたら、おっとりで気働きが空回りしまくるみほさんにお願いしましょう。お世話になりましたみほさん。


最後に、たまたまbookingから宿の評価のメールが来てたのでこうしました。リアルぅ!

 

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