十杯機嫌 〜飲んで飲んで、たまに犬〜

酒好きふたりと酒嫌いな犬。

優先順位がはっきりしている犬。

今さらですが、サイゾーは非常にわかりやすい犬です。何をしたいのか、何をしてほしいのかがもう大抵わかります。その純粋さがかわいらしく、またおもしろいときもあれば、無常にも人の心を傷つけることもあります。今回はそんな身勝手なサイゾーを物語るエピソードを。





夕方の散歩を終えて、そろそろおやつでもあげようか、という日暮れの時間。引き出しにしまっていた犬チーズをあげようかな〜と思いながら、やっぱもったいないしやめた!と決めて。






いつものジャーキーをあげることにしました。これはこれで好物なので、「うわ〜♡」と喜んでいます。







「良しっ」と合図するやいなや、すかさずパクついて…






しばらくして振り向くと、「もっとくれ」と待っている。いやアンタ、食べたとこやんかいさ。実はもう1本ジャーキーを机の上に置いていたのだが、もうちょっとしてからあげようと思っていたの。そこにコンビニでおやつを買ってきたうちの会社のボスが帰ってきた。このコンビニの袋のかさかさという音、サイゾーには「おいしいものがあるよ〜ん♪」に聞こえるらしい。すかさずボスの足下に寄りつき…







「それ何ですか?よかったらいただけるんでしょうか?」と低姿勢。うずらの薫製だかを買ってきたボスは、小さくして味を取ってからサイゾーに少しずつ与えているよう。「いいですよ、おやつやったばっかしやから」とボスに言っても孫のおもちゃを買ってしまうじいちゃんのように「うん、ちょっとだけ」と与えている。そんなボスのことをサイゾーは大好き。こりゃそろそろジャーキーをもう1本出すべきか、と思い







サイゾー、ジャーキーあるで〜」と誘ってみたが見向きもしねえ(マジで)。ほれほれ、ジャーキーよ、アンタの好きな、と呼んでも振り向きもせず、ボスにしっぽをふりふり。この手にあるジャーキーの行き場もなく、犬に無視される悲しい私がぽつんといるだけ。おい、どーしてくれるよ、この立場。







しばらくしてボスのおやつがなくなったと察知した犬は、仕方なしに「で、ジャーキーは?」と寄ってきた。ふーんだ、あげませ〜ん。もうそんなにボスのことが好きなんやったら、ボスんとこの子になりぃ〜!だいたいその顔、ぜんぜん欲しそうな顔じゃないし。ね、ヒドい犬でしょう〜?