コンカラコンコンカン
と、どこからか音が。「なんか音したよね」「何か落ちた音でしたね」「◯◯さん、スマホ違います?」と言われ、ハッとする私。そうや、スマホを鞄から出してジャケットの上にのせてたなと思い出し、音がした座席下を探るも何も見えない。「電話鳴らしてみますね」と後輩が機転をきかせ、耳を澄ましてみると確かにブーブーと音がする。ということは、私のスマホがこの辺りにあるのは間違いないということになる。
目的の駅まではあと数駅。それまでにここから出さなくてはいけない。後輩スマホを借りてライトを照らし、後ろの客にも「すみません」と言いながら席を動かし、時には這いつくばって探してみるも私のスマホは見当たらない。この辺りにあるのは間違いないのに姿は見えないというトリップに焦るばかりの私たち。落ち着こう、と冷静になってよくよく見たら、座席と窓の壁の間に1センチ弱ほどの隙間を見つけた。左右は塞がれているので中は見えんが、どうやらここにスルスルと落ちて行ったと考えられる。というかもうそれしか考えられんのだ。
「ここに入ったということはもううちらで取り出すのは無理やな。諦めるわ」と彼女たちに話したところ、またまた機転をきかせた後輩女子がスマホでこういう場合どうしたらいいのかを検索。すると「◯◯さん、駅に降りたらまず駅員さんに言うてください。そしたら連絡先を教えてもらえて関連部署が椅子を除けて取り出してくれるらしいです。一週間くらいで出してもらえるそうです」と言う。ナイスアドバイス!てかこんな境遇の人が他にもいるんだね。これ、ネジ外さな絶対取り出されへんで。JRさん、そんなことまでしてくれるんや。ほほー。
その後、会社に戻ってから駅員に指定された連絡先に電話をして、何時発の快速の4号車、座席場所、車輌番号を伝えたところ、また折り返し連絡しますと言われました。そして翌日、待ちに待ったJRからの電話が。「お客さまのスマホ、確かにございました」「あー。ありがとうございます。お手数かけてすみません」「それでですね、ただいまお客さまのスマホは網干駅でお預かりしておりますのでお引き取りいただけますか?」「あ、ぼ、し?あぼしってどこですか?」「姫路の近くです」………なんでまたそんなとこに。しかしよくよく聞くと着払いで送ってもらうこともできるらしく、そちらでお願いしました。